(※写真はイメージです/PIXTA)

価格上昇が続く東京の不動産市場。要因のひとつとして高額なタワマンの存在が指摘されているが、そんな高額物件の購入者には、世帯年収2000万円を誇るパワーカップルが多く含まれている。いわば「勝ち組」の彼らだが、ここにきて状況に変化が見え始めた。どういうことか。

「億越えマンション」購入者の金銭感覚

株式会社東京カンテイによると、2021年の新築マンション価格の「年収倍率」は、全国平均で8.93倍で、5年連続の拡大だった。また、最も高かったのは東京都の14.69倍、次いで沖縄県の12.15倍だった。

 

新築マンションの「年収倍率」とは、各都道府県で分譲されたマンション価格(70平米換算)を平均年収で割り、新築価格が年収の何倍にあたるかを算出したものだ。東京都の平均年収は595万円であることから(厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』)、東京の新築マンションは平均8,740万円となる。

 

平均価格上昇の要因と目されているのが、土地・建築費の高騰と、タワーマンション(タワマン)の増加だ。短期的な視点では、都心の大型・高額タワマンの供給により平均価格が押し上げられるため、影響力は非常に大きいといえる。

 

そんなタワマンの主な購入者は、夫婦とも高収入の、いわば「パワーカップル」だ。パワーカップルの年収の定義は一律ではないが、明確なのは、一般庶民よりはるかに高額な給与所得と旺盛な消費意欲を持つという点だ。これらに基づいた行動原理と昨今の低金利によって、都心のパワーカップルが続々と「億越え」タワーマンションを購入しているのである。

 

しかし、タワマンにも購入するだけの大きなメリットがある。購入者が注目するのは、立地のよさと資産性だ。都心部の企業に勤務しているなら、好立地で交通利便性の高いタワマン生活は合理的だといえる。また、資産性の高さから値崩れしにくく、場合によっては購入時よりも高く売れることもある。

 

厚生労働省『令和3年国民生活基礎調査』によると、世帯の平均所得金額は564万3,000円で、中央値は440万円。マンション購入者の平均年齢である40代前半の世帯年収は平均721万2,000円となっている。そのなかで、世帯年収「1,400万円」を超えるのはわずか4.7%。世帯年収「2,000万円超え」ともなると1.4%だ。そのすべてが2人以上世帯とは限らないが、かなり限られた存在だといえるだろう。

金利0.5%の上昇で、住宅ローン返済は…

ここにきて、潤沢な資金力を持つ「タワマン購入者」が懸念する問題が生じている。それが金利の上昇だ。長らく低金利が続いていた日本でも、そろそろ金利引き上げとの予測もあり、注目されているのだ。


もし仮に、世帯年収2,000万円の世帯が、1億円・30年返済の住宅ローンでタワマンを買った場合を用いて検証してみよう。


返済方式は元利均等、金利が0.5%だとすると、利息分は770万8,045円。毎月の返済額は29万9,189円だ。平均的な返済比率(年収に占めるローンの年間返済額の割合)は20%程度なので、年収1,800万円程度なら、さほど負担は大きくないだろう。

 

そこで、0.5%金利がもし1%になった場合はどうか。月々の返済は32万1,639円と2万2,450円の負担増に。以下、1パーセントずつ上昇した場合を並べてみよう。返済額の増加はすさまじいものになるのがわかる。

 

2%→36万9,619円

3%→42万1,604円

4%→47万7,415円

5%→53万6,821円

6%→59万9,550円

7%→66万5,302円

8%→73万3,764円

 

返済比率20%を維持するなら、金利2%程度が限界となり、返済比率の上限といわれている35%でも、金利6%でアウトだ。

 

日本でも固定金利の引き上げが話題になっているが、変動金利は金融機関間の競争も激しく、金利が引き上げられる可能性は低いというのが一般的な見解のようだが、現在の「超低金利」が永遠に続くとは限らない。

 

長らく続いたデフレに慣れ切ってしまい、限界ギリギリでローンを組んでしまった人は、わずかな金利上昇で致命傷を負う可能性は十分にある。万一の事態を見越し、常に対策を考えておくことが重要だ。

 

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