Q3.課税に関する1億円の壁問題について
自民党の税制調査会などで、課税に関して1億円の壁問題が上がっています。株投資への移行に逆行していると思っています。広木さんのお考えをお聞かせ下さい。
■回答3
この問題は少し誤解があります。岸田政権発足直後にされた議論と直近の議論とでは、大きく違いますので、その点を踏まえる必要があります。この問題の根本は、所得の多い富裕層ほど税負担率が低くなる逆転現象を是正する必要があるということです。
給与は高額になるほど税率が上がる累進制で、所得税の最高税率は45%、分離して課税する株式や土地・建物の売却益の所得税率は一律15%。株式などの売却が多いほど税負担が低くなる傾向があります。実際に、所得税と社会保険料の負担率は所得5千万円超~1億円の層で28.7%と最も高く、所得5億円超~10億円は21.5%、50億円超~100億円では17.2%となり、300万円~400万円の17.9%より低くなっています。1億円を境に負担率が下がることから、これを財務省は「1億円の壁」と呼んでいるわけです。
当初は、①富裕層の税負担率が低い=②それは富裕層ほど株式などから得る所得が多い=③株式投資はお金持ちのするもの=④では株式投資に課税しよう、という議論でした。これは明らかに、③以降のロジックがおかしい。僕もさんざん批判しました。
株式投資が悪いわけではなく、税制がおかしいのだから、そこを直そうという議論にいまはなっています。つまり、超富裕層に課税しようということで、誰でもが対象になる当初の金融所得課税の議論とは別に検討される方向です。実際に、23年度税制改正では中間層の所得倍増に向け、積立型の少額投資非課税制度(NISA)の投資枠や期間を拡充すると岸田首相は表明しました。ただ、これが最近、骨抜きになりそうな気配で、そちらのほうが問題です。
岸田政権の政策については、また別の機会にお話したいと思います。
Q4.米国のいまの相場について
米国のいまの相場は、業績相場でしょうか。また、S&P500の底値はいつごろでしょうか?
■回答4
「米国のいまの相場は、業績相場でしょうか」というご質問には、そうではありませんとお答えします。それでは、相場のサイクルではどこに位置するかというと、それを特定するのは非常に難しい。
一般にいわれる株式相場のサイクルは4つのフェーズがあります。「金融相場⇒業績相場⇒逆金融相場⇒逆業績相場」というものです。金融緩和を好感して株が上がり、やがて金融緩和などの景気対策が奏功して景気が上向き、業績が回復する。それを好感して上がるのが業績相場です。
しかし、今度は景気の過熱に対して金融が引き締めに転じます。これで売られるのが逆金融相場です。そうした金融引き締めの効果で景気が悪化、企業業績も落ち込みます。それを嫌気して売られるのが逆業績相場です。そうなってくると当局は景気対策で金融緩和に転じ、こうして再び金融相場が始まる。これが典型的なサイクルです。
ただし、こうしたサイクルのあいだには中間反騰、中間反落が挟まれることがよくあります。また、明確にひとつのステージが終了してから、次のステージに移行するというものではなく、オーバーラップしていることも多々あります。少なくとも今年はFEDの利上げで米国株が下げてきました。それは逆金融相場でしょう。すると今後待ち受けているのは逆業績相場。景気の悪化とともに企業業績が低迷します。現在はその移行期に見られる中間反騰局面かもしれません。
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