生命保険業界も未曽有のリスク
また、MS&ADホールディングスの「三井住友海上あいおい生命」が属する生命保険業界も、危機的状況にあります。
まず、少子高齢化により、働き盛りの人が加入する生命保険のニーズが減少していくという大きな流れがあります。それに加え、長引くマイナス金利政策で、従来人気があった「円建て」の終身保険や養老保険等の貯蓄性の保険は利率が悪くなっており、「米ドル建て」「変額」の保険に押されています。
三井住友海上あいおい生命の主力商品は、医療保険や収入保障保険(生命保険)、就業不能保険です。これらのいわゆる「掛け捨て」の保険は、保障内容や保険料水準に関して他社との競争が激しくなりがちで、商品力、収益ともに突出することが難しいものです。
また、同社の貯蓄性の保険については円建ての商品に限られ、「米ドル建て」「変額」の保険は扱っていません。
加えて、2019年2月に「バレンタインショック」とよばれる法人保険の保険料の損金算入ルールの改定があり、法人向けの「節税保険」として人気があった「逓増定期保険」等の販売も大きく落ち込みました。
SOMPOホールディングス傘下の「SOMPOひまわり生命」、東京海上ホールディングス傘下の「東京海上日動あんしん生命」も、程度の差はあれ似たような構造を抱えています(東京海上日動あんしん生命は最近、変額型の養老保険の販売を開始しましたが、比較的後発ということもあり、先行きは未知数です)。
さらに、コロナ禍のなかで保険営業のあり方自体が大きく変わってきています。いずれ保険営業がAIにとってかわられる可能性も指摘されています。
このように、MS&ADホールディングスが見舞われているリスクは、同社だけの問題ではなく、保険業界全体にかかわる構造的リスクといえます。損害保険も生命保険も、民間の商品でありながら、実質上、社会的セーフティネットとして大きな役割を果たすものであり、今後の保険業界の行く末が注目されます。
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