およそ30年ぶりのインフレに加え、それを抑制するための積極的な利上げや金融引き締めに伴う景気減速懸念が複雑に絡み合い、世界の金融市場はいま不安定な動きを続けています。ただ、「インフレ環境下」では、最終的に株式が良いパフォーマンスを発揮すると、鎌倉投信の代表取締役社長である鎌田恭幸氏はいいます。インフレに負けない運用のポイントをみていきましょう。

株式が「インフレに強い」ワケ

では、なぜ株式はインフレに強いのでしょうか。そのことを示すのは比較的容易です。

 

なぜなら、一般的に企業は、インフレが反映される仕入れ等の原価に付加価値をつけ、原価を上回る価格で販売することによって利益を得ます。そして、その利益の積み上げ(業績)が株価に反映されるからです。

 

こうした経済合理性に照らし合わせると、株価はインフレ率を上回って上昇する傾向にある、というのはきわめて自然なことです。

 

多くの人が「投資」と「投機」を混同している

しかし、なぜ多くの人は、資産運用の目的を達成するために中心的な役割を果たす投資対象は株式であることを理屈で理解しながらも、株式投資に不安を感じるのでしょうか。

 

それは、「投資」と「投機」を混同していることにあるのではないでしょうか。

 

「投機」とは、たとえば、株式や為替の日計り取引(当日中に売買を繰り返す取引)のように、短期的な価格変動に着目した値段の鞘取りで、実体はなく、法則性を見出すことは困難です。

 

つまり、賭け(博打)に近い要素があり、プロでも利益を出し続けることは難しいでしょう。

 

一方、「投資」とは、実体としての価値に着目し、その価値が長期的にふえる傾向を見込むものであり、そこには一定の法則性があります。そのため、プロはもとより、一般の方であっても実践しやすいものといえます。

価格変動よりも大事な「企業そのものの価値」

たとえば、筆者が社長を務める資産運用会社が運用する投資信託は、国内の67社の“いい会社”に投資しています(2022年10月末時点)。

 

そして、ここ数年、コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻、インフレや金利上昇などで経営を取り巻く環境が大きく変わるなかでも、そのような“いい会社”は全社の業績を平均すれば下振れることなく安定して成長を続け、企業価値は高まっています。

 

こうした厳しい経営環境のなかで業績を伸ばすということは、顧客や社会への認知度が広がっていることを表します。そのため、企業の「存在価値」そのものが高まっているともいえるでしょう。

 

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・「いい会社」を説明する際に、投資先企業を例にとりましたが、当該特定企業の発行する有価証券の購入を推奨するものではありません。

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