約30年ぶりインフレ…不安定な相場には「株式投資」が向いているワケ【投資のプロが解説】

およそ30年ぶりのインフレに加え、それを抑制するための積極的な利上げや金融引き締めに伴う景気減速懸念が複雑に絡み合い、世界の金融市場はいま不安定な動きを続けています。ただ、「インフレ環境下」では、最終的に株式が良いパフォーマンスを発揮すると、鎌倉投信の代表取締役社長である鎌田恭幸氏はいいます。インフレに負けない運用のポイントをみていきましょう。

インフレに強い運用資産とはなにか?

30年近く経験していない「インフレ下での資産運用」

このところ、急速に高まる物価上昇(インフレ)圧力、それを抑制するための米欧中央銀行による積極的な利上げ、さらには、金融引き締めに伴う景気減速懸念が三つ巴で複雑に絡み合い、世界の株式市場は不安定な値動きを続けています。

 

先日、ある金融法人の運用担当者と話をした際、「はじめてインフレの下で運用を経験する」と言っていたことがとても印象的でした。たしかに日本では、30年近くにわたりインフレを経験していないため、「インフレの怖さ」を体感している運用者が少ないのも頷けます。

 

この「物価・金利・景気減速」の3つの先行きは予断を許しませんが、今回は、資産運用とインフレとの基本的な関係性について考えてみたいと思います。

 

資産運用の「3つの要素」

ところで皆様は、そもそも「資産運用ってなに?」と尋ねられたら、どのように答えるでしょうか。

 

「退職後の資産を蓄えておくこと」や「金儲けの手段」、なかには「博打のようなもの」と答える人もいるかもしれません。

 

筆者は、資産運用とは「経済的な目的を達成するために、一定の法則を利用して、保有する資産価値を長期にわたって高めるための取り組み」と考えています。

 

そして、その取り組みとは、主に次の3つの要素から成ります。

 

1.将来使うお金をいま使わずに、“別の財布”に蓄えること
2.現金をインフレ(物価上昇)に強い資産に替えて、お金の購買力を減らさないようにすること
3.インフレ率を上回って、価値が上昇する可能性の高い資産を保有することによって、「将来受け取るお金」を増やすこと

 

インフレに強い運用資産は「株式」

では、この1~3に適した運用対象資産はなんでしょうか。

 

上記の観点から、1900年~2000年の100年間にわたり、「インフレ」と「証券市場」の関係性について日本を含めた16ヵ国を詳細に分析した、『証券市場の真実』(東洋経済新報社出版)という書籍があります。

 

本著のなかでは、日本のインフレ率を控除したあとの実質リターンは、株式が年平均「4.5%」、債券が同「-1.6%」となっているほか、日・米・英を単純平均すると、株式が同「5.7%」、債券が同「0.4%」といった結果が示されています。他の国においても、傾向は同様でした。

 

こうしてみると、短期的には異なる結果をともなうものの、基本的にインフレに強く、先述した資産運用の3要素を満たす可能性の高い運用対象資産はなにかといえば、預金や債券ではなく「株式」である、といえるでしょう。

 

一般的に、不動産や金などもインフレに強いといわれますが、換金のしやすさや身近に感じやすいといった点で、株式は資産運用において欠かすことのできない投資対象なのです。

 

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    鎌倉投信株式会社 代表取締役社長

    1965年島根県生まれ。日系・外資系信託銀行を通じて30年にわたり資産運用業務に携わる。株式等の運用、運用商品の企画、年金等の機関投資家営業等を経て、外資系信託銀行の代表取締役副社長を務める。

    2008年11月に鎌倉投信(株)を創業。

    ■著作等
    ・『日本で一番投資したい会社』(アチーブメント出版)
    ・『21世紀をつくる人を幸せにする会社』共著(ディスカヴァー21)

    著者紹介

    連載「10年後」を見据えた株式投資…投資のプロが教える〈いい会社〉の見つけ方

    ※投資に際しては以下の点をご理解いただき、投資の判断はお客様ご自身の責任においてなさいますようお願いいたします。

    ・株式投資は預金または保険契約ではないため、預金保険および保険契約者保護機構の保護対象にはなりません。
    ・株式は、金融機関の預貯金と異なり、元本および利息の保証はありません。
    ・本記事に記載の情報は、作成時点のものであり、市場の環境やその他の状況によって異なることがあります。 また、いずれも将来の傾向、数値等を保証もしくは示唆するものではありません。
    ・本記事に記載の内容は、将来の運用結果等を保証もしくは示唆するものではありません。 また、本記事は、鎌倉投信が信用に足ると判断した情報・データに基づき作成されていますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。
    ・「いい会社」を説明する際に、投資先企業を例にとりましたが、当該特定企業の発行する有価証券の購入を推奨するものではありません。

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