老後資金の形成と節税に役立つ「企業年金・財形貯蓄」の仕組み (※写真はイメージです/PIXTA)

老後の資金として、公的年金では足りないお金を補充するため、近年では、私的年金が必要だといわれています。私的年金には「企業年金」と「個人年金」がありますが、今回は企業年金を見ていきましょう。自身もFP資格を持つ、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

「企業年金」…会社が主体として運営する年金制度

企業年金とは、会社員の老後を保障するために、企業が主体となって年金を支給する制度です。会社員がもらえる企業年金には、確定給付年金と確定拠出年金という、大きく2つの種類があります。

 

①確定給付年金 

 

将来もらえる年金の額があらかじめ決まっているタイプです。一般的には、従業員にかわって企業がお金を積み立てて、そのお金を企業や基金が運用します。また運用が上手くいかず、予定の給付額に足りなくなっても、不足分は企業が補填することになっています。つまり運用リスクを企業が負うような仕組みです。

 

:「企業型の確定給付年金」「厚生年金基金」など

 

②確定拠出年金 

 

掛金の金額が決まっており、その運用成績によって給付する金額が決まるタイプです。

 

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「厚生年金基金」…運用難から縮小・廃止の方向へ

厚生年金基金は、企業から独立した厚生年金基金を設立し、老齢厚生年金の報酬比例部分を国に代わって運営代行し、これに基金独自の上乗せをすることによって、厚生年金保険よりも手厚い給付をおこなうことを目的とした制度です。

 

しかし、近年の長引く超低金利による運用難から、年金資産の積立不足が問題となり、厚生年金基金の制度は段階的に縮小・廃止されることとなりました。

 

掛金は、原則として、労使折半で事業主と従業員が2分の1ずつ拠出します。

 

事業主が負担した掛金は、全額が損金算入され、従業員が負担した掛金は、全額が「社会保険料控除」として所得控除の対象となります。

 

そして、従業員が年金として老齢給付を受け取る場合には雑所得、一時金として受け取る場合は退職所得となります。

「企業型の確定給付年金」…現在の主流に

厚生年金基金などに代わって、確定給付年金が、現在の主流になっています。仕組みの概要について解説します。

 

★確定給付年金の種類 

 

企業型の確定給付年金には、基金型と規約型があります。

 

基金型は、厚生年金基金の代行部分を返上した制度で、企業年金基金が管理・運用をおこなうものです。一方、規約型は、従来の適格退職年金で、企業が信託銀行や生命保険会社に管理・運用を任せるものです。

 

★掛け金と給付額について 

 

掛金は、原則として、全額を事業主が負担します。ただし、従業員が掛金の一部を2分の1まで負担することもできます。

 

給付額は、年金資産の運用成果と連動しないことから、年金資産の積立不足は事業主が補填します。年金の給付は、原則として、老齢給付金ですが、規約に定めることにより、障害給付金や遺族給付金を給付することもできます。

 

事業主が負担した掛金は、全額が損金算入され、一方、従業員が負担した掛金は、その一定額が、「生命保険料控除」として所得控除の対象となります。

 

また、従業員が年金として受け取る場合は雑所得、一時金として受け取る場合は、退職所得となります。

 

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「財形貯蓄」…給料から天引きして積立!

財形貯蓄制度は、従業員の資産形成を助ける目的で設けられた給与天引きによる積立制度です。

 

財形貯蓄には、利用目的によって、一般財形貯蓄、財形住宅貯蓄、財形年金貯蓄の3種類があります。利用目的だけでなく、積立期間や引き出し制限、税制優遇の有無などの違いがあります。

 

★一般財形貯蓄 ~用途が自由な財形貯蓄~ 

一般財形貯蓄は、用途が自由な財形貯蓄です。年齢、積立可能額に制限はありません。ただし、3年以上定期的な積み立てが必要とされ、1年間の引き出し制限期間があります。税制の優遇措置はありません。

 

★財形住宅貯蓄 ~持ち家の取得や増改築のための財形貯蓄~ 

財形住宅貯蓄は、持家取得や自宅の増改築工事のための費用を貯蓄するための財形貯蓄です。満55歳未満までの従業員が対象で、5年以上の定期的な積立が必要です。元本550万円までは、受け取った利子が非課税となります。

 

★財形年金貯蓄 ~老後のための財形貯蓄~ 

財形年金貯蓄は、老後の年金給付の原資を貯蓄するための財形貯蓄です。満55歳未満までの従業員が対象で、5年以上の定期的な積立が必要です。元本550万円までは、受け取った利子が非課税となります。年金受取期間は、60歳以降で5年以上20年以内の期間であるものとされています。

 

 

岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士

 

 

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    公認会計士/税理士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)

    平成28年度経済産業省中小企業庁「事業承継ガイドライン委員会」委員、令和2年度日本公認会計士協会中小企業施策研究調査会「事業承継支援専門部会」委員、東京都中小企業診断士協会「事業承継支援研究会」代表幹事。
    一橋大学大学院修了。中央青山監査法人にて会計監査及び財務デュー・ディリジェンス業務に従事。その後、三菱UFJ銀行ウェルスマネジメント営業部、みずほ証券投資銀行部M&Aアドバイザリーグループ、メリルリンチ日本証券プリンシパル・インベストメント部不動産投資グループなどに在籍し、中小企業の事業承継から上場企業のM&Aまで、100件を超える事業承継とM&A実務を遂行した。現在は、相続税申告と相続・事業承継コンサルティング業務を提供している。

    WEBサイト https://kinyu-chukai.com/

    著者紹介

    連載ベテラン公認会計士が解説! ファイナンシャル・プランニングと資金計画の極意

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