インボイスは合わせ技でも大丈夫!
請求書と納品書を併せてインボイスに?
飲食店や小売店に食品や雑貨を卸す商社などは、取引があるたびに商品名を記載した納品書を発行して、月末にその月の取引を全部まとめた請求書(各納品書の合計金額をまとめたようなもの)を発行する場合があります。
このような場合、納品書と請求書を併せてインボイスの記載事項を満たしていれば、無理に1つの書類にまとめたものを別途発行する必要はありません。インボイスの記載事項は次の通りです。
・取引年月日
・取引内容(軽減税率対象品目がある場合は※印でその旨を記載)
・税抜価格または税込価格を税率ごとに区分した合計金額及び適用税率・税率ごとに区分した消費税額等(消費税額と地方消費税額の合計)
・インボイスを受け取る事業者の氏名または名称
これらの内容が、納品書か請求書のいずれかに書いてあれば大丈夫です。
1枚の請求書ではインボイスの記載事項が書ききれないとき
商品の取引項目がたくさんあって、1枚の請求書でインボイスの記載事項が書ききれないときは、次の方法で対応できます。まず、取引内容は納品書に記載して、請求書には「登録番号」、それぞれの納品書番号と合計金額、そして「税率ごとに区分した消費税額等」を記載します。
なお、請求書には「消費税額等」を記載しているので、税率ごとの端数処理の計算は1回ずつ行います。これで、インボイスに必要な記載事項が、請求書と納品書で満たせます。
納品書には税率ごとに区分した消費税額、請求書には納品書番号と合計金額
もう1つの方法とは、納品書に取引の内容と税率ごとに区分した消費税額等を記載し、請求書にそれぞれの納品書番号と合計金額を記載します。
なお、「税率ごとに区分した消費税額等」は納品書に記載するので、納品書につき税率ごとの端数処理の計算は1回ずつ行います。これで納品書と請求書を併せて、インボイスに必要な記載事項を満たすことができます。
請求書にすべての取引内容を書く
請求書のみでインボイスとしたい場合は、請求書にインボイスに必要な事項をすべて記載します。なお、この請求書に「税率ごとに区分した消費税額等」が記載されていますので、合計金額をベースに、税率ごとの消費税の端数処理の計算を1回行います。
その結果、納品書の消費税の合計金額(それぞれの納品書内で端数処理を計算)とは、ずれることになるでしょう。
請求書と納品書を併せて、必要な記載事項を満たしていれば、インボイスとして認めることができます!
※【マンガ】『インボイスは登録する・しない…どちらが得か』を読む
川崎 晴一郎
公認会計士/税理士
KMS経営会計事務所/株式会社KMS 代表