(※写真はイメージです/PIXTA)

一家の生計を支えていた人が死亡し、子どものいる妻・子どもが遺された場合、その後の生活費をどのようにまかなえばいいのでしょうか。わが国には、子どものいる妻の生活を保障する遺族年金の制度があります。遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」がありますが、今回は、遺族基礎年金について見ていきます。自身もFP資格を持つ、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

遺族給付の全体像…基礎年金・厚生年金それぞれの場合

国民年金からは、「遺族基礎年金」以外に、「死亡一時金」と「寡婦年金」が支給されます。

 

一方、厚生年金からは、「遺族厚生年金」以外に「中高齢寡婦加算」と「経過的寡婦加算」が支給されます。

遺族基礎年金の役割…働き手を失った家族の所得を補う

遺族基礎年金とは、一家の働き手が亡くなったあとに、一定の所得を保障するために支給される年金です。一家の生計を支えていた人が死亡し、妻や子どもが遺された場合でも、遺族の生活を安定させることができます。子どもの養育費のようなものだと理解しましょう。

 

★遺族基礎年金の受給要件 

 

遺族基礎年金の受給要件は、次のとおりです。

 

受給のタイミング

年金の被保険者が死亡したとき

老齢基礎年金の受給資格を満たした人が死亡したとき

 

遺族基礎年金の支給を受けることができる遺族

死亡した人に生計を維持されていた子どものある妻

年金法上の子ども

 

※年金法上の子とは、下記のどちらかに当てはまる子のこと

・18歳になった年度の3月31日までにある

・20歳未満で1、2級の障害の状態にある

 

子どものいない妻は受け取ることはできません。

 

婚姻の届出のない内縁関係でも、子どもがいる場合には支給されます。

 

複数の子が遺族基礎年金を受給するときは、合計金額を子の人数で割った金額が支給されます。

 

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遺族基礎年金の基本年金額は?

★配偶者に支給される遺族基礎年金の年金額 

 

妻または夫に支給される遺族年金の基本年金額は、約78万円です。

 

子どもの加算は2人目までが1人につき約22万5,000円、3人目以降は1人につき約7万5,000円となっています。

 

★子に支給される遺族基礎年金の額 

 

子どもに支給される遺族年金の基本年金額は、約78万円です。

 

複数の子どもがいる場合の加算は2人目が約22万5,000円、3人目以降は1人につき約7万5,000円となっています。

寡婦年金=夫が給付を受けなかった国民年金を、妻へ…

寡婦年金とは、夫が国民年金の給付を受けることなく死亡した場合に、夫の保険料が掛捨てになってしまうことを防止するために、遺族である妻に支給されるものです。

 

これは、国民年金独自の制度であり、国民年金の第1号被保険者である夫が死亡し、次の要件をすべて満たす場合に、妻に支給されることになります。

 

①国民年金の第1号被保険者の期間が10年以上ある夫が死亡したこと

②死亡した夫が老齢基礎年金や障害基礎年金の支給を受けていないこと

③夫の死亡時、夫によって生計を維持されていたこと

④夫との婚姻期間が10年以上ある65歳未満の妻であること

 

妻が受給できるのは、60歳から65歳までとなります。

 

寡婦年金の年金額は、夫の老齢基礎年金の4分の3の金額です。

 

★遺族基礎年金の受給要件はこちらをチェック

【遺族基礎年金】受給要件と年金額は?寡婦年金と死亡一時金まで【FP3級】

死亡一時金=納めた保険料の「掛捨て化」を防止する

死亡一時金は、一定期間以上にわたって保険料を納めた保険料が掛捨てになってしまうことを防止するために設けられているものです。

 

これも、寡婦年金と同様に、国民年金独自の制度であり、国民年金の第1号被保険者である夫が死亡し、次の要件をすべて満たす場合に、妻に支給されることになります。

 

①第1号被保険者として国民年金保険料の納付済みの期間が3年(=36ヵ月)以上あること

②死亡した人が、老齢基礎年金または障害基礎年金の支給を受けていないこと

 

遺族基礎年金を受給できるのは、死亡した第1号被保険者と同一生計にある遺族です。

 

その遺族の順位は、配偶者、年金法上の子ども、父母、孫となっています。

 

死亡一時金の支給額は、第1号被保険者としての保険料納付済期間の月数に応じて決まります。

 

ただし、寡婦年金と死亡一時金の両方を受給することはできず、どちらかを選択することになります。

 

 

岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士

 

 

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