人生100年時代、誰しも、突然の病気やケガ等で働けなくなり治療費や生活費に困窮するリスクがあります。そんなとき、有効な手段の一つが、加入中の「生命保険」を売却してまとまったお金を得ることができる「生命保険の買取」です。イギリス・アメリカでは生活が困窮したときのセーフティネットの一つとして根付いていますが、日本では最近ようやく活用できるようになったものです。そこにはさまざまな紆余曲折がありました。
残された問題とは
ここまで知っても、「生命保険の買取」において譲渡される生命保険契約が、馴染みのない第三者の利益のために利用されることに違和感を覚える人がいるかもしれません。病人の不幸に付け込んで保険契約が買い叩かれるなど倫理的な問題があるのではないかと憂慮する人もいるでしょう。
また、「生命保険の買取」が有益だとしても、やはり法律の規制は必要なのではないかという問題もあります。
実は、これらの問題は、生命保険の買取が発祥したイギリス、アメリカをはじめ、各国で議論が尽くされ乗り越えられてきており、今では高齢者や患者さんのセーフティネットの一つとして根付くまでになっています。次回は、主に米国でどのような議論を経てこの制度が洗練されてきたのかを解説します。
濱崎研治
株式会社リスク・マネジメント研究所
代表取締役
株式会社リスク・マネジメント研究所
代表取締役
1986年生命保険会社に入社、外務員・支社長を経て2000年独立
その間の1991年米国本社を訪問時に「生命保険の買取」の存在を知るも、友人を癌で亡くし生命保険買取の必要性を痛感する。
2021年、米国カルフォルニア州生命保険買取ブローカー資格試験合格。
2004年、株式会社リスク・マネジメント研究所を設立。
【論文等】
『米国のLife Settlementと介護資金形成』生命保険文化センター 生命保険論集 215号(共著 2021年6月)
『生命保険信託における民事信託の活用 (特集 生命保険信託の新たな展開)』信託フォーラム Vol.5(2016年3月)
『必要な治療が受けられない! がん患者にのしかかる“三重苦” 生命保険の売却で活路を』最新医療経営情報誌フェイズ・スリー 260号(2006年04月)
『医師も知っておいてほしい 患者のための生保活用術』日経メディカル Cancer Review on WEB (2009年06月16日)
『診療所成功マニュアル 生命保険加入をどう見直すか』日経ヘルスケア 132号(2000年10月)
【所属団体】
日本保険学会
日本臨床腫瘍学会
日本後見法学会
民事信託推進センター
著者プロフィール詳細
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連載「家計破綻・老後破産」を防ぐ「家計の埋蔵金」!いざというときのため知っておきたい「生命保険の買取」とは