理由2:後継者の育成に問題がある
積極的に事業承継を進めたくても、後継者の育成がうまくいかないケースもあります。育成に時間がかかるのはもちろん、親族内のトラブルや従業員の反発なども考えられる原因です。
後継者の育成がうまくいかない
事業の経験がない後継者に、初めから経営者の仕事を任せるのはリスクが高い方法です。まずは実務を十分経験させた上で、経営者としての能力や心得を伝えます。限られた時間で多くを学ぶ必要があるため、事業の継続や成長に意欲的に取り組める人を選ぶのもポイントです。後継者を親族内から選ぶと、引き継がれる多額の財産をめぐり争いが発生する可能性もあります。
トラブルに発展しないよう関係者全員の理解を得られる人選も重要です。また後継者と古参の従業員との関係性も育成に影響を与えます。創業期から働く従業員の理解を得られなければ、後継者の方針に反発するといった事態も起こりかねません。
右腕となる人材がいない
後継者の右腕となる幹部がいないのも、事業承継が進みにくい理由です。経営者本人には右腕と呼べる人がいたとしても、その人が後継者のサポートも買って出てくれるとは限りません。後継者との相性が悪く、経営者が引退すると後継者にとって扱いの難しい人物になる可能性も考えられます。後継者と同世代の幹部がいないことも、後継者を支える人材が見つかりにくい理由の一つです。
右腕がいないまま経営を続けると、後継者に万が一のことが起きたときに会社が危機に陥るかもしれません。後継者本人の育成と同時に、右腕となる人物の育成も意識するとスムーズに進みやすいでしょう。
理由3:後継者が決まっていない
そもそも後継者がいないため、事業承継が進まないケースもあります。もしも親族内で適切な後継者がいないなら、親族以外への事業承継も視野に入れた判断が必要かもしれません。
後継者に適切な人材がいない
経済産業省の調査によると、廃業予定の企業のうち『26.8%』が後継者がいないことを理由に挙げています。子どもに引き継がせたいけれど拒否されているケースや、そもそも子どもがいないケースなどです。信頼して仕事を任せられる後継者が都合よく現れるとは限りません。適切な人材がいなければ事業承継は当然進まないでしょう。
親族以外への承継も考える
子どもに後継者になってほしくても、子どもには自分の仕事があり承継を希望していないかもしれません。親族内で後継者を探そうとしても、後継者が務まる人物がいないこともあるでしょう。
日本政策金融公庫の調査によると、小規模事業者の64.9%・中規模企業の42.4%が親族内承継をしているそうです。親族内承継が難しいなら、親族以外への承継を検討すると事業承継が進みやすくなるはずです。
M&Aといった買収で事業承継するケースは、小規模事業者2.3%・中規模企業1.5%にとどまります。事業に関する専門知識や実務経験のある後継者を親族以外から見つけ出せれば、速やかな承継がかなうかもしれません。