「トータルで黒字」でも融資が難しい場合も
もうひとつ、担当者が重視するのが物件それぞれのキャッシュフロー。トータルで黒字を確保していても、そのなかにひとつでも赤字の物件が混じっていると、融資は難しくなるといいます。
「不動産投資はマンションやアパートという生活の場を入居者に貸す事業(ビジネス)であり、オーナーは経営者です。たとえば飲食業や小売業で赤字の店舗があれば、経費を抑えたり模様替えしたりなんらかの手を打つでしょう。アパート経営も同じように、キャッシュフローが回らない物件があればなにか対策をすべきです。
たとえば、リフォームやリノベーションをして訴求効果を高めることや、繰上返済をして毎月の返済を抑えることが具体的な対策として考えられますが、それを放置しているとしたら、経営者としてのマインドに疑問符がつきます」
以上は複数物件を所有している人に対してですが、初めて不動産投資を行おうという人に対しても融資を行っているのでしょうか。
担当者「不動産投資の経験がまったくない方がご融資の相談に来られるケースはもちろんあります。その場合にはまず、不動産投資で理解しておくべきリスクをきちんとお話します。
たとえば中古で空室がある物件を検討しているのであれば、いつから空室になっているのか、それを今後どのように埋めていくのか、きちんと確認しているかどうかを伺います。不動産会社から満室想定の利回りだけ聞いて『なんだかよさそう』というだけで買おうとするのは危険ですし、経営の持続も難しくなります。
ローンがいくら借りられるか、金利はいくらで返済期間はどれくらいか、購入という目先の条件を気にされるかもしれませんが、対象の物件が継続的に安定したキャッシュフローを生み出せるのか、投資家のみなさまが不動産投資のリスクをしっかり理解したうえで着実にアパート経営を続けていけるかどうか、という中長期的な視点も重要なポイントとなります」
『投資家が気にするポイント』と『金融機関が気にするポイント』に違いがあることも認識しておくと、融資がよりスムーズに進むかもしれません。
アパート経営オンライン編集部
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