(※画像はイメージです/PIXTA)

2022年も残り2ヵ月を切り、年末調整・確定申告が気になる季節になりました。所得税・住民税には「所得控除」「税額控除」等、数々の税制優遇があります。しかし、それらの多くは、自分から申告しない限り受けられないので、知らないうちに損しているケースがかなり多く見受けられます。ただし、そういう場合でも過去5年にわたって遡って取り返せる制度があります。「更正の請求」です。

更正の請求とは

更正の請求とは、計算違いや申告内容の誤り・不足等によって税金を払いすぎた場合や、「還付」された額が少なすぎた場合に、その分のお金を取り戻すための制度です。

 

ちなみに、ここでいう「還付」で典型的なのは、「純損失の繰戻還付」です。これは主に個人事業主として青色申告をしている人に認められるもので、赤字の場合に前年度の黒字から差し引いてその分の税金の還付を受けられる制度です。

 

更正の請求の手続きは、税務署長に対し「更正の請求書」を提出することによって行います。

 

税務署は、その内容について検討したうえで、払いすぎの税金があったり還付額が少なすぎたりした場合には、「減額更正」を行って請求者に通知し、税金の還付等を行います。

 

なお、参考までに、過少申告の場合は「修正申告」といいます。修正申告は自主的に行えば問題ありませんが、税務調査の結果判明した場合や、税務署から申告税額の更正処分を受けた場合には、「過少申告加算税」(原則として更正納付額の10%)がかかります。

更正の請求はいつまで遡ってできるか?

更正の請求を行える期限は、原則として、確定申告の期限から5年以内です。裏返せば、過去5年分まで遡って更正の請求を行うことができるということです。

 

もしも、過去5年間に、本来控除等を受けられたにもかかわらず申告し忘れたものがあったのであれば、今からでも間に合います。領収書やレシートといった、その事実を証明するものが残っていれば、すみやかに更正の請求の手続きをとることをおすすめします。

「更正の請求書」は簡単に作成できる

「更正の請求書」は、国税庁HP「確定申告書等作成コーナー」の「更正の請求書・修正申告書作成コーナー」を利用すれば簡単に作成できます。

 

画面の案内に従って金額等を入力すれば、税額等まで自動で計算され、更正の請求書ができあがります。

 

作成したデータはe-Tax(国税電子申告・納税システム)で電子申告することもできますし、プリントアウトして税務署に郵送により提出することもできます。

つい申告を忘れがちな控除等の例

最後に、多くの人にとって更正の請求の対象となりがちなもの、すなわち、申告を忘れがちな控除等の例についてお伝えします。

 

◆医療費控除

医療費控除は、通常の医療費控除と「セルフメディケーション税制」の2種類があります。

 

まず、通常の医療費控除は、その年度の医療費が10万円を超えた場合にその超過額について所得控除を受けられるものです。対象となるのは、以下の費用です。

 

・医師等による診療や治療のために支払った費用

・治療や療養に必要な医薬品の購入費用

 

日常用語の「医療費」とは異なり、治療のために必要なものは広く含まれます。なお、通院の際にかかった交通費も対象となりますが、領収書等の証拠がない場合が多いので、更正の請求は困難です。

 

次に、セルフメディケーション税制は、ドラッグストア等で購入した一定の要件をみたす市販の医薬品について、購入金額が年間12,000を超えたらその超過額の所得控除が認められるものです。対象となる医薬品については、レシートに「★」過去のレシートがあれば、それに基づいて更正の請求ができます。

 

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