中小企業が取り組める「税制優遇」「補助金」を活用した節税

中小企業が取り組める「税制優遇」「補助金」を活用した節税

前回は、より効果的な節税のため、役員報酬は控えめにすべき理由を説明しました。今回は、税制優遇や補助金・助成金を活用した節税を紹介します。

積極的に活用したい「3つの優遇措置」とは?

中小企業の場合、一定の条件を満たすと税制上のさまざまな優遇措置が利用できます。これらを上手に使えば、支出を伴わずに効果的に節税が可能です。

 

●特別償却と割増償却

 

優遇措置の具体例としては、「特別償却」と「割増償却」の2つがあります。特別償却、割増償却ともに、通常の減価償却の限度額を超える減価償却費を計上できる特例です。

 

特別償却や割増償却の特例を利用するためには、国策として打ち出されている「特別税制」の適用を受ける必要があります。

 

たとえば「生産性向上設備投資促進税制」「中小企業投資促進税制」「研究開発税制」などです。現在はアベノミクスによる経済政策でさまざまな特別税制が打ち出されています。常に情報をキャッチしてください。有効に利用しない手はありません。

 

とくに、筆者自身が関わる会社や顧問先企業で積極的に利用しているのが「生産性向上設備投資促進税制」です。これは生産性の向上につながる設備を購入した際に「即時償却(設備投資にかかった費用を初年度に全額を損金計上できる)」または最大5%の税額控除が適用できる租税措置です。

 

生産性向上設備投資促進税制では設備投資額の上限はありませんから、5000万円でも1億円でも2016年3月31日までに取得していれば100%償却が可能でした。これほど効果的な節税はほとんどないでしょう。

 

2017年3月末までであれば50%の償却が可能ですから、設備投資を予定している会社はぜひ適用を検討してみてください。こうした特例・優遇制度はこれからも制定されますのでおおいに活用すべきです。

「圧縮記帳」で補助金、助成金への課税額を減らせる

●補助金・助成金

 

大阪であれば高齢者や障害者を雇用した際、地方では正社員を1人採用するにつき補助金が支給されるなど、各地の地方自治体ではさまざまな補助金や助成金を打ち出しています。ほとんどはホームページなどに告知されているので、調べてみるといいでしょう。

 

もっとも、補助金や助成金の多くは課税対象となるため、受給によって税金が増えることにはなります。その意味では節税とは真逆の対策とも思えますが、課せられる税金以上のキャッシュが入ることに変わりはありません。

 

また、補助金を利用して固定資産を購入した際、その購入金額から補助金の額を控除できる「圧縮記帳」を利用すれば、補助金・助成金に対する課税額を減額することも可能です。先ほどの特別償却と割増償却と方法は違いますが、「会社にキャッシュを残す」という節税の目的にかなった対策といえます。

 

次回は、私自身が関わる六角レンチの専業メーカー「A社」の実例を挙げて「税制」「補助金・助成金」の活用方法を説明しましょう。

本連載は、2016年8月2日刊行の書籍『税務署が咎めない「究極の節税」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

税務署が咎めない 「究極の節税」

税務署が咎めない 「究極の節税」

辻 正夫

幻冬舎メディアコンサルティング

「せっかく稼いだお金を税金に持っていかれてたまるか!」 そんな思いから多くの経営者が節税に励んでいます。しかし、ひとたび節税の方法を間違えると税務署から捜査の手が入り、経営が楽になるどころか危機的な状況に陥り、…

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