前回は、不動産取得時に計上できる「建物附属設備」を活用した節税方法を紹介しました。今回は、役員賞与を「事前確定届出給与」で損金化する方法を見ていきます。

一見、使い勝手が悪く思えるが・・・

従来、役員賞与は損金に算入できませんでした。それが平成19年の法改正によって支給額を事前に届け出た場合に限り、役員賞与を損金算入できるようになっています。このように損金化できる役員賞与のことを「事前確定届出給与」と呼びます。

 

この制度を使う場合、役員賞与の支給額を所轄の税務署に申告までに届け出る必要があるのですが、一度届け出ると、その支給額は「全額支払う」あるいは「全額支払わない」のいずれかしか選択できないので注意が必要です。

 

たとえば「夏の役員賞与は支払うけれど、冬は業績が悪くなったので出さない」「夏は全額支払うけれど、冬は半額のみ支払う」といった柔軟な活用ができないのです。届け出た支給額を支払わないことについてペナルティはありませんが、その場合は役員賞与を損金に算入できなくなります。

 

こうしてみると、一見、使い勝手が悪いように思えますが、アイデア次第で効果的な節税につなげることができる制度です。

決算期末に役員賞与を出せば、効果的な節税が可能

私からの提案は「決算期末に役員賞与を出す」ことです。

 

たとえば決算期末に役員賞与を500万円支給すると届け出をしておきます。そのうえで利益が出れば500万円を支給し、業績が悪くなれば支給しなければいいのです。夏と冬に分けると調整が難しいですが一括支給にすれば判断が容易です。

本連載は、2016年8月2日刊行の書籍『税務署が咎めない「究極の節税」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

税務署が咎めない 「究極の節税」

税務署が咎めない 「究極の節税」

辻 正夫

幻冬舎メディアコンサルティング

「せっかく稼いだお金を税金に持っていかれてたまるか!」 そんな思いから多くの経営者が節税に励んでいます。しかし、ひとたび節税の方法を間違えると税務署から捜査の手が入り、経営が楽になるどころか危機的な状況に陥り、…

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