※画像はイメージです/PIXTA

損益計算書上では利益が出ているにもかかわらず、キャッシュフローが悪化し倒産に至る「黒字倒産」。具体的にどのようなときに起きるのでしょうか。みていきましょう。

資金繰りの問題を発見するには?

会社の資金繰りに潜む問題を見つけるにはポイントがあります。損益計算書上では黒字でも、キャッシュフローや貸借対照表を確認すると、問題が見つかるかもしれません。

 

キャッシュフローを理解する

黒字倒産につながる問題を見つけ出すには、現金の流れである『キャッシュフロー』に注目しましょう。キャッシュフローを理解していないと、自社商品を順調に販売できていても、倒産に向かう恐れがあるからです。

 

『キャッシュフロー計算書』の確認は、自社のキャッシュフローの理解につながります。現金の増減の理由を確認できるため、キャッシュフロー改善のヒントにもなるはずです。

 

貸借対照表で純資産の合計を確認する

『貸借対照表』も資金繰りの問題を見つけ出すのに役立ちます。注目するのは『純資産』です。もし純資産が減っているとすれば、負債をこれまでの貯金で支払っていることを意味します。実質的には債務超過の状態です。

 

また純資産の合計がマイナスなら、借入金でなんとか資金がつながっている厳しい状態と分かります。見た目の経営状態と実質的な経営状態は同じとは限りません。正しい現状把握のために、純資産を確認しましょう。

黒字倒産を防ぐための対策例

キャッシュフロー計算書や貸借対照表を確認した結果、資金繰りが悪化しているのが分かったら、どのように対策するとよいのでしょうか? 代表的な対策の仕方を確認します。

無駄なコストの見直しを行う

まず実施するのは『コスト』の見直しです。コストを徹底的に抑え、無駄を省きましょう。たとえば役員報酬や事務所の立地を見直すと、毎月発生する人件費や家賃を抑えられます。

 

ただしどのコストも一様に削減しようとすると、会社の運営がうまくいかなくなってしまいます。まずはコストを必要なものと不要なものに分類し、見直しの優先順位を決めましょう。

 

その上で優先順位の高いコストから具体的な削減プランを作成していくと、効果的にコストを見直せます。

 

資産や事業を売却する

不要な『資産』や『事業』の売却も、黒字倒産対策に役立ちます。在庫は多いほど資金繰りに問題が発生しやすいため、多過ぎる在庫は処分しましょう。特に不良在庫の処分は早めの実施が得策です。

 

また事業売却も検討するとよいでしょう。コア事業を残しその他の事業を売却すれば対価を得られます。事業を現金化することで、キャッシュフローの悪化により苦しくなっている支払いに充てられる方法です。

 

リスケ交渉やファクタリングは最終手段

資金繰りの悪化により金融機関からの借入金を返済できなくなったら、『リスケ』の相談・交渉を行いましょう。返済額の減額も含め、返済条件を変更する手続きです。

 

これでうまくいかなければ倒産、という段階で実施する最後の手段でもあります。リスケに伴い、事業をどのように立て直していくか計画も立てなければいけません。

 

もう一つの手段として、売掛金を現金化する『ファクタリング』を利用する方法もあります。ただし中には、ファクタリング会社を装ったヤミ金融業者もあるため要注意です。貸付けを行っていると考えられる業者は、利用してはいけません。

お金の流れ、手元の現金に注意しよう

利益が出ていることと、会社が安定していることは別です。売掛金の入金が遅く資金繰りがうまくいかなくなるケースや、受注が伸びているのに過剰在庫で現金がなくなるケースは、黒字倒産の恐れがあります。

 

黒字倒産を避けるには、キャッシュフロー計算書や貸借対照表で、会社の現金の流れを正しく把握しましょう。問題が発覚したときには、コストの見直しや資産・事業の売却などで対策します。

 

リスケやファクタリングの利用は、あくまでも最後の手段です。

 

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。

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