(※写真はイメージです/PIXTA)

人生の三大資金といわれるものに「教育資金」「住宅資金」「老後資金」があります。なかでも老後資金は、数年前に「老後資金2,000万円問題」として大きな話題となり、いまでは学生や20代の若い人たちにまで不安が広がっています。定年後も安心して暮らすには、どのように対策するべきでしょうか。自身もFP資格を持つ、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

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今回は、人生三大資金のひとつ、老後資金について学習しましょう。数年前にショッキングな話題として注目された「老後資金2,000万円問題」がありますが、多くの人が抱えている老後不安を解消するには、きちんとした準備が必要なのです。

 

①老後に必要な生活費を計算する

老後資金とは、引退後の生活設計に基づいて、「老後に受け取る年金」と「取り崩していく貯蓄」のこと。引退する前に十分な貯蓄ができるよう、若い頃から資金計画を立てて準備しておかなければなりません。

 

老後の生活費は、引退する直前の生活費をベースにして考えていくのが現実的です。生活レベルを急激に落とすことは困難ですので、ある程度余裕をもって見積もる必要があるでしょう。

 

キャッシュ・フロー表を作成するのであれば、一般的には、下記のように2パターンに分けて考えます。正確な見積もりは困難ですが、おおまかに下記のような見積もりであれば十分でしょう。

 

★夫婦が2人とも健在である時期  現在の生活費の7割程度

 

★夫婦どちらかが先に死亡して1人になる期間 → 現在の生活費の5割程度

 

この生活費の見積もり金額に「平均余命の年数」をかけると、老後生活費の総額を計算することができます。

 

②老後資金プランの作成

わが国で少子高齢化社会が急速に進んでいることから、今後は若い世代ほど、年金が減少すると予想されます。そのため老後資金の準備については、より早い時期からの貯蓄を始めておく必要があります。

 

毎月コツコツと地道に積み立てていくことはもちろん、将来のインフレなど物価上昇に備えて、積極的に資産運用することが必要です。

 

インフレに備えるためには、株式型の投資信託などが適しているといわれます。

 

長期的な運用成績には運用コストが大きく影響してきますので、運用コストの安いインデックス・ファンドやETFが最適でしょう。

 

また、確定拠出年金も有効な選択肢となります。

 

近年、iDeCoが普及してきています。iDeCoは、自分が拠出した掛金を、自分で運用し、資産を形成する年金制度です。

 

掛金を60歳になるまで拠出し、60歳以降に老齢給付金を受け取ることができます。

 

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③老後資金の運用プラン

一方、老後を迎えた世代の資産運用は、「お金を増やす」ことを目的にするのではなく、「安心して使う」ことを目的とすべきです。それゆえ、安全性の高い商品で資産運用を考えることが必要です。

 

また、個人財産の規模が大きなお客様の場合は、一代では使いきれず、相続財産として残すことも想定する必要があります。

覚えておいて! 老後の資産形成の「3つの目的」

老後の資産形成の目的は、大きく3つに分けて考えることが必要です。

 

1つは、ゆとりのある生活を送るために「安心してお金を使えるようにする」ことです。

 

このためには、定期的に取り崩していけるような金融商品が適しています。個人年金保険や、安全性の高い定期預金や投資信託などを組み合わせるとよいでしょう。

 

2つ目は、「子どもたちのためにお金を残す」ことです。

 

このためには、終身保険などのように相続税の非課税枠が使えるもの、不動産のように相続税負担が軽くなるもので資産運用することが適しています。とくに、相続の遺産分割を考えるのであれば、子どもたちが争うことのないよう、受取人を指定できる生命保険が有効でしょう。

 

3つ目は、「病気に備える」ことです。

 

このためには、医療保険などで最低限の保障を確保することが不可欠でしょう。

 

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まとめ

今回は、老後資金について学習しました。

 

人生100年時代と言われ、必要となる老後資金は増加することが予想されます。

 

長期的な資産運用の必要性を、しっかりと理解しておきましょう。

 

 

岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士

 

 

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