なってはいけない中間管理職の姿
ただの「伝言者」になる
「社長がこういったから」や「部長が決めたから」という発言をする中間管理職をよくみかけます。この発言をしている上司を、部下はどうみるでしょうか。少なくとも、「この人を信頼して付いていこう」とは思えないでしょう。部門の責任が自らにあるという意識が希薄であることを上司自らが表明しているようなものだからです。
こういう中間管理職は、うまくいかなかったときに、「社長の指示だったし」とか「決めたのは部長だから」という言い訳をするために、仕事に取りかかる前の段階から責任を回避する態勢を取っているのです。
これでは、中間管理職ではなく「中間にいるだけの人」です。この人がいるせいで上司と部下の間に余計な隔たりを生んでしまっていることになりますので、むしろいないほうがよい存在になってしまいます。中間管理職は、ただの伝言者になってはいけないのです。
「誰が上司から最も頼りにされる部下になれるか」を競い合う
「上ばかり見て仕事をする」といわれ、非難されてしまう人がいます。これは、上司の顔色を窺い、結果を出すことよりも上司の機嫌を取ることに躍起になっている人です。もちろん、こういう人を見習うべきではありません。そうではなく、上司から頼りにされる存在になるために「上だけを見て」仕事をしていきましょう。
本来、組織においては常に下位者は上位者に対して「いかに頼られる存在になるか」を考え、動く立場でなければいけません。ところが、中間管理職が一生懸命部下から頼りにされる存在になろうと頑張ってしまっているケースがよくあります。
社長が従業員からの人気取りをしているのも同様です。彼らの言い分は「部下は自分を頼りにしているから、いざというときに力を貸してくれる。だから自分は常に部下から頼られ、好かれていなければならない」というようなもの。社長が従業員の側を向いて仕事をしている企業は市場から頼りにされません。社長は常に市場だけをみて、いかに世のなかから必要とされる企業になるかということのみを考えていなければならないのです。
市場が社長のために動いてくれるなんてことはあり得ません。この姿勢の向きは組織における血流のようなものです。血流が逆になれば生物は死んでしまいます。組織も同じです。その部下である上司は、社長と同じ方向だけを向いていなければなりません。
血流がしっかりと一定に保たれていれば、中間管理職の部下も同じ方向を向いて「いかに上司から頼りにされる部下になるか」を常に考えてくれるようになります。そして、それが続くと、「誰が上司から最も頼りにされる部下になれるか」を競い合うようになるのです。