特殊な間取りの「建物」、特殊な形をした「土地」といった「難あり」の不動産物件も、その特性を生かした売り出し方を工夫することにより、思わぬ高値がつくこともあります。建物が「店舗兼住宅」、土地が「台形状」と、買い手がつきにくい「二重苦」だった東京都墨田区の自宅を、当初査定価格の1.5倍の高値で売却することに成功した三田さん(女性・60代※仮名)の事例を紹介します。

「アパート用の土地を探している人」に特化した広告活動

エージェントBは、近隣の単身者向けで築年数の浅いアパートについて、建築計画概要書をいくつか閲覧、建設時に適用された条例を調べました。その結果、三田さんの土地にアパートを建てるうえで特殊な条例が適用されることはないことが分かりました。

 

これで自信をもって「10世帯の2階建てアパート」が建設できる用地であると広告にアピールできます。アパートメーカーの協力から割り出した建設費用や家賃収入も盛り込むことができます。

 

アパート経営するうえでランニングコストとなってくる固定資産税や電気料金の目安についても、売主から過去の支払い状況を聞き出したり、専門家の知恵を借りたりしながら、参考値として出せるものを用意しました。

 

アパート建設と経営に関する参考値がひととおりそろったので、続いて解体費用です。解体費用は売主が負担するのが基本となります。もし正確な解体費を考慮せず販売価格を決めてしまうと、相場の価格と大きく乖離してしまうことが考えられます。正確な解体費を織り込んだ価格にて販売する必要がありました。

 

そこで、エージェントBは解体業者に見積もりを依頼し、一緒に現地にて建物内を回って、できる限り正確な解体費用を見積もっていきました。ここに時間とコストを掛けられるかどうかで、後々の成約価格はかなり変わってきます。単なる空き家の撤去とは異なり、今回は特殊な設備の多い建物でしたので、解体見積もりはなおさら重要でした。

 

解体業者から出てきた解体見積もりは300万円です。やはり特殊な設備が多い建物なので解体費用は高め傾向でした。この300万円分を相場価格から差し引きます。

 

エージェントBの現地調査と専門家の協力を得て参考値をできるだけ集めた結果、解体費用を見込んだうえでの販売価格は7,500万円としました。

 

販売資料は完全にターゲットを絞り、アパート用地を探している方向けの情報を充実させました。解体費用の参考見積もりはもちろんのこと、10世帯のアパートの建築費用と図面や想定できる家賃収入、初期投資費用を何年ほどの運用で回収できるのかも参考値として出していきました。固定資産税など月々のランニングコストも詳しく載せました。

 

 

大西 倫加
さくら事務所 代表取締役社長
らくだ不動産株式会社 代表取締役社長
だいち災害リスク研究所 副所長

 

長嶋 修
さくら事務所 会長
らくだ不動産株式会社 会長

悩める売主を救う 不動産エージェントという選択

悩める売主を救う 不動産エージェントという選択

大西 倫加,長嶋 修

幻冬舎メディアコンサルティング

不動産売却を検討する人は必読の一冊! 後悔したくなければ「不動産エージェント」を選択せよ! 売主第一主義か?自社利益最優先か? 不動産業者は千差万別! 正しいパートナー選びが売却の成否を分ける――

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