不動産市況は空前の「売り手市場」なのに、いざ物件を売却しようとしてもなかなか買い手が見つからず、値引きを余儀なくされることがあります。その背景には、不動産仲介会社が売主と買主の双方の代理人となることで、手数料を両方から受け取れる「両手取引」という仕組みがあります。仲介会社がそのために行うのが物件の「囲い込み」です。これにより、売主と買主双方の取引のチャンスが損なわれることがあるのです。

レインズ掲載物件の9割以上が「囲い込み」の可能性

このような公正さを欠いた囲い込みが本当に横行しているのか、ほんのごく一部の不動産屋がやっているだけの話ではないのかと思う方もいるかもしれません。しかし残念ながら、レインズをより詳しく見てみると、多くの不動産が囲い込まれている事実を知ることができます。

 

レインズに掲載されている9割以上の不動産は「広告掲載区分」の項目が「不可」となっています。これはその名のとおり、物件を掲載している不動産仲介会社しか広告展開してはいけないことを意味しています。他の不動産仲介会社が物件を気に入り、うちで買主を見つけるために広告展開しようと思いついたとしても、広告掲載区分が不可であればいっさいの広告展開活動が行えないのです。

 

広告掲載区分が不可になっているということはすなわち、「囲い込んでいますよ」「両手取引を狙っていますよ」といった不動産仲介会社のメッセージともいえるわけです。他社が広告展開できないのですから、不動産が買い手候補の目に留まる機会も極端に減るわけなので、取引発生機会も著しく少なくなってしまいます。売主にとってこの状況は決して看過できるものではありません。

 

両手取引そのものは悪い手段ではありませんが、このようなルールとそれに付随した不動産仲介会社だけが得られるうま味があるからこそ、作為的な囲い込みが減らず、不動産取引のチャンスに恵まれず、悩む売主があとを絶たないのです。

 

たとえ囲い込みがあったとしても、大手不動産会社内での囲い込みであれば、顧客をたくさん抱えているから売却もスムーズなのではと考える方もいるかもしれません。

 

しかし残念ながら、大手不動産会社の社内連携には疑わしい点が多々あります。それどころか、同じ不動産会社グループ内であっても、支所同士で対抗し合い、足を引っ張りあっていることもあるのです。

次ページ同グループ内ですら「囲い込み」が行われることも
悩める売主を救う 不動産エージェントという選択

悩める売主を救う 不動産エージェントという選択

大西 倫加,長嶋 修

幻冬舎メディアコンサルティング

不動産売却を検討する人は必読の一冊! 後悔したくなければ「不動産エージェント」を選択せよ! 売主第一主義か?自社利益最優先か? 不動産業者は千差万別! 正しいパートナー選びが売却の成否を分ける――

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