ハンセン指数 16,161.14 pt (+5.36%)
中国本土株指数 5,482.52 pt (+6.03%)
レッドチップ指数 3,096.91 pt (+4.59%)
売買代金1,886億5百万HK$(前日986億5万HK$)
過度な対ドル・人民元安が一服
前日まで4日続落した米国株式指数や、今夜に控える10月の米雇用統計など重要な経済指標を前に投資家心理が燻る中、4日の香港市場は大幅躍進し、他指数を大きくアウトパフォームした。
10月のハンセン指数は月間で15%下落とグローバル指数で最悪のパフォーマンスだっただけに、買い戻しの動きが顕著にみられた。
中国本土銘柄から成るハンセン中国企業株(H株)は6.03%高と週間での上げ幅は2015年以来のパフォーマンスとなった。特に中国本土のファンドからの資金流入が顕著に目立ち、先週の流入額の36億ドルを上回る水準に上った。
外国勢の中国に対する見方が悲観的過ぎる一方、中国内の投資家が押し目買いの好機とみて買いに出動している。
ハンセン指数は朝方、小高く寄り付いた後、心理的節目の16,000ポイントを上抜けた。午後には米国が中国企業を対象に実施していた監査が終了したとの一部報道や、中国当局が新型コロナ対策を緩和するとの噂を手がかりに、ハンセン指数は一時7%強まで上昇する場面もみられた。
同監査は米国に上場する中国企業の監査状況の検査を巡り、米上場企業会計監視委員会(PCAOB)と中国証券監督管理委員会が問題の解決に向けて協力協定を結び、米国に上場している中国企業の監査状況を米当局が検査することを認めるものだが、当初の11月中旬から早く終了したと報じた。
一連の報道を受けて主要銘柄が大幅反発。Eコマース大手の京東集団(9618)は12.5%高、アリババ(9988)は11.0%高、インターネット検索の百度(9888)は8.9%高、インターネットサービスのテンセント(0700)は7.8%高、香港取引所(0388)は7.1%高と上げ幅が目立った。
ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は前日比7.54%高と急反発。自動車関連株が大幅反発し、EVメーカーの小鵬汽車(9868)は24.2%高、新興メーカーのNIO(9866)は20.0%高、理想汽車(2015)は17.5.0%と上げ幅が目立った。
IT大手株も堅調、動画配信のビリビリ(9626)は17.2%高、動画投稿の快手(1024)は15.9%高、オンラインゲームの網易(9999)は8.7%高だった。
中国本土株市場は上海総合指数は前日比2.43%高の3,070.80、CSI300は同3.27%高の3,767.17で引けた。中国経済対策の期待感が相場を支えたほか、中国人民元は対ドルベースで急速に元高・ドル安に振れたことが改善につながった。
中国人民銀行は4日、人民元の対ドル中心レートを6営業日連続で引き下げるなど、過度な人民元安にも一服が見られ始めた。
香港市場は中国のコロナ対策緩和への期待から大幅反発
今週に入り香港市場は、中国政府が新型コロナウイルス対策を大幅に緩和するとの期待を手掛かりに大きく反発した。
他市場比較でも、主要指数を大きくアウトパフォームする展開となった。一部の報道によると、23年春までには、現状の厳格な制限政策から大幅に緩和されるとの観測も強まった。政策転換への期待が高まっている。
また中国当局は新型コロナウイルスを国内に持ち込んだとする航空会社を処分する制度を打ち切る方向で作業を進めている。中国国務院は、民用航空局を含む政府機関にいわゆる「サーキットブレーカー」制度の終了に備えるよう通告したと述べ、徹底的にコロナを抑制するゼロコロナ政策の緩和を探っている兆しが伺える。
中国本土の新規感染者数は冬を迎え徐々に拡大が続き、足元の新規感染者数(無症状者含む)は2日連続で3,000人越えと、過去最多となった8月17日の3,424人の水準に近づいている。
中国国家衛生健康委員会(NHC)は2日、中国当局が遵守する「ゼロコロナ政策」を堅持すべきとの見解を示し、中国本土の経済再開の見方が分かれる状態が続く。現状は、報道ベースによる噂程度に過ぎないが、中国が世界第二位の経済大国だけに、経済再開に対する期待がいかに高いかを表す形となった。
長谷川 建一
Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>