(※画像はイメージです/PIXTA)

近年、事業の再編、業務提携、事業承継等の場面で「M&A」が活用されるようになってきています。しかし、会社法の規定を読むと複雑で、何が何だかよくわかりません。そこで、M&Aの方式を4つのパターンに分けてイメージしやすいよう整理し、それぞれが機能する場面と効果について、わかりやすく解説します。

「売り手」目線から整理したM&Aの4つのパターン

M&Aには多くの種類があって複雑なように見えますが、「売る側」からみると、実は、パターンは以下の4つだけです。

 

パターン1. 他の会社の子会社になる:「株式の売却」「株式交換」

パターン2. 他の会社に吸収される:「吸収合併」

パターン3. 特定の事業部門を他の会社に買収してもらう:「事業譲渡」「吸収分割」

パターン4. 親会社を設立する:「株式移転」

 

これらの4パターンがあることを押さえておけば、あとは、対価を金銭で受け取るのか、相手の会社の株式で受け取るかの違いによって名称が異なるだけです。

 

以下、それぞれについて解説します。なお、株式会社を前提としていますが、株式会社以外の「合同会社」等でも基本的な枠組みは同じだとお考えください。

パターン1. 他の会社の子会社になる

1つ目は、他の会社の子会社になるパターンです。これについては、株主が対価として金銭等を受け取る場合と、親会社になる相手会社の株式を受け取る場合とに分かれます。

 

株主が受け取る対価が金銭の場合は単なる「株式の売却」ですが、対価として相手会社の株式を受け取る場合を「株式交換」といいます(会社法767条~771条)。

 

「株式の売却」においては、株主は、対価として金銭を受け取る代わりに、子会社(もともと自分が支配していた会社)の経営からも親会社の経営からも完全に離れることになります。これに対し、「株式交換」においては、株主は新たに親会社の株式になることを通じ、間接的に、わずかながら子会社の経営に関与することになります。

 

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