FP業務での「よくある法律違反」4つのケース
ファイナンシャル・プランナーは、顧客の相談に応じて、投資、保険、税務、相続など幅広い助言をおこないます。とはいえ、当然ながら、税理士や弁護士のような専門家でなければおこなえない業務は除外されており、万一おこなってしまったら、法律違反となります。
ここでは、ファイナンシャル・プランナー業務との関係で問題が生じる税理士法、保険業法、金融商品取引法、弁護士法との関係について見ていきましょう。
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ファイナンシャル・プランニングと関連法規
◆税理士法違反…継続的な税金相談サポートを受けるのはNG!
ファイナンシャル・プランナーは、顧客から継続的に税金に関する相談を受け、それに対して継続的なサポートをおこなうことがあります。これは税理士法との関係において問題となります。
税理士法によれば、反復継続的に、個別具体的な税務相談、税務書類の作成をおこなうことは、有償か無償か、営利目的が有るか無いかにかかわらず、税理士資格を持っている人しかできません。
税務相談については、個別具体的な相談と一般的な相談がありますが、個別具体的な納税義務に係わる税務相談に対して継続的にサポートをおこなうと、税理士法違反となります。
これに対して、仮定の事例を使ったり、一般的な制度の説明をおこなったりするような税務相談は、税理士法に違反しません。
したがって、ファイナンシャル・プランナーは、顧客のデータを参考にしつつ、具体的な数値ではなく抽象的な事例を想定し、その想定事例に基づいて、一般的な税金の説明をおこなうことは可能ということになります。
◆保険業法違反…生命保険の相談を受け、商品の提案をするのはNG!
ファイナンシャル・プランナーは、顧客から生命保険に関する相談を受け、それに対して保険商品の提案をおこなうことがあります。これが保険業法との関係で問題となります。
保険を募集するためには「保険募集人」として内閣総理大臣に登録することが必要です。
したがって、保険募集人ではないファイナンシャル・プランナーは、保険の募集や勧誘、販売をおこなうことができません。
ただし、保険募集人の登録をおこなっていなくとも、一般的な商品説明や必要保障額の説明をおこなうことはできます。
◆金融商品取引法違反…金融商品による投資相談を受けるのはNG!
ファイナンシャル・プランナーは、株式や債券など金融商品の投資に係る相談を受けることがあります。これは、投資助言・代理業との関係で問題となります。
投資助言・代理業とは、投資顧問契約にもとづき、株式や債券など有価証券の価値に関し、顧客に助言をおこなうことをいいます。
また、投資運用業とは、投資一任契約にもとづき、金融商品の価値の分析に基づく投資判断の一任を受けて、顧客のために投資運用をおこなうことをいいます。
いずれも「金融商品取引業」として、内閣総理大臣の登録を受けなければいけません。
したがって、投資助言・代理業の登録をおこなっていないファイナンシャル・プランナーは、株式や債券など有価証券の投資に係る相談に対応することはできません。
ただし、投資助言・代理業の登録をおこなっていなくとも、景気の動向、株式市場全体の説明や金融商品の説明をおこなうことはできます。
◆弁護士法違反…法律に関する相談をするのはNG!
ファイナンシャル・プランナーは、法律問題に関して相談を受けることがあります。これは、弁護士法との関係で問題となります。
弁護士法によれば、顧客の債務整理や遺言書の作成、個別具体的な権利義務関係の処理、相続における財産整理などは、法律事務の領域ですので、弁護士資格を持つ人しかおこなうことができません。
したがって、弁護士資格を持っていないファイナンシャル・プランナーは、法律事務をおこなうことはできません。
ただし、一般的な法令の解釈について説明をおこなうことはできます。
たとえば、顧客から相続の相談を受けたとき、遺言の作成方法や効力、遺留分などについて、民法上の一般的な解説をおこなうことは可能とされています。
★守らないと法律違反!?FPが注意すべき法律はこちらをチェック
「ファイナンシャル・プランナー(FP)が注意すべき法律」税理士法、保険業法、金商法、弁護士法
まとめ
ファイナンシャル・プランナーには、相談の延長線上として、税金や法律について意見を求めてしまうこともあるでしょう。しかし、上記で上げた、税理士法、保険業法、金融商品取引法、弁護士法に抵触する場合は、受けてもらうことができません。
当然ながら、FP自身も法律違反をしないよう十分な注意をしているはずですので、相談者は相談内容の範囲を明確にし、相談内容に応じて相談先を選択することが重要です。
岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士
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