ここ数年、メディア等で、ライフプランやマネープランの相談に「エフピー(ファイナンシャル・プランナー)」という肩書を名乗る人が回答しているのを見聞きします。FPはれっきとした国家資格なのですが、果たしてどのような役割を担い、どういった相談に答えてくれるのでしょうか。自身もFP資格を持つ、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

「ファイナンシャル・プランナー」ってどんな仕事?

ファイナンシャル・プランナーとは「FP」とも呼ばれ、「国民の幸福の実現を、経済的な側面からサポートする社会的役割と使命を持つ専門家」のことをいいます。

 

ファイナンシャル・プランナーの資格である「ファイナンシャル・プランニング技能士」は、その資格を持っている者だけが名乗ることができる国家資格です。

 

ファイナンシャル・プランナーが担う業務の具体例は、下記のとおりです。

 

●顧客の収入、資産・負債などに関するあらゆる情報を集める

●顧客の目標や希望のヒアリングをおこなう

●顧客に最適なライフプランを提案する(資産の貯蓄・運用計画、保険設計、税金対策、相続など)

●必要に応じて他の専門家との連携をおこなう

 

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FPに課せられた「職業倫理」とは?

ファイナンシャル・プランナーは、顧客の信頼のうえに成り立つ職業であり、高い職業倫理が要求されます。

 

特に下記の5原則は、ファイナンシャル・プランナーが守るべき職業倫理です。

 

(1)顧客利益の優先 

 

ファイナンシャル・プランナーは、顧客の利益を最優先し、決してファイナンシャル・プランナーの利益を優先してはなりません。これは、顧客の利益を優先したプランニングを継続して提供することで、顧客から信頼されるようになるという、信義則のようなものです。

 

たとえば、顧客は税金を減少させるプランを求めることがあります。税金を減少させるといっても、合法的な「節税」もあれば、違法な「脱税」となるものがあります。これらの線引きをしっかりと認識しなければなりません。

 

節税とは、税法で認められた範囲内で工夫して納税額を少なくする行為です。これに対して、脱税とは、税法で認められていない手法で納税額を故意に少なくする、あるいは払わない行為をさします。

 

脱税が違法行為であることはもちろんですが、ファイナンシャル・プランナーが顧客に脱税のアドバイスをすれば、ファイナンシャル・プランナー自身も脱税暫助の罪に問われることになります。

 

(2)守秘義務の厳守 

 

ファイナンシャル・プランナーは、職務上知り得た顧客情報を顧客の同意なく第三者に漏洩してはなりません。

 

ファイナンシャル・プランナーは、顧客の資産保有状況や家庭事情など、多くの個人情報を顧客から入手します。これらの個人情報は、ファイナンシャル・プランナーがこれから顧客に最適なプランを提案し、継続的にフォローしていくために重要なものです。そのため、顧客の個人情報の管理には万全を期し、個人情報を他人に漏洩してはなりません。

 

個人情報の保護に関する法律として「個人情報保護法」があります。ファイナンシャル・プランナーは、個人情報取扱事業者に該当しない場合であっても、職業倫理上、顧客の個人情報に関する守秘義務を厳守することが求められます。

 

さらに、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用に関する法律として、いわゆる「個人番号法」があります。金融機関に勤務するファイナンシャル・プランナーは、顧客のマイナンバーを知る機会もあると思われますが、決められた人以外の方は、マイナンバーを収集・保管することが禁止されています。

 

金融機関に勤務していないファイナンシャル・プランナーは、決められた人に該当せず、マイナンバーを収集保管することが禁止されている可能性が高いことに注意しましょう。

 

(3)顧客に対する説明義務 

 

ファイナンシャル・プランナーは、プランニングや商品販売にあたって、顧客が適切な情報に基づいて意思決定できるよう、十分に説明する義務を負います。たとえば、金融商品の販売等に関する法律として「金融商品販売法」がありますが、これは、重要事項の説明義務について定めています。すなわち、金利、通貨、金融商品市場の相場などの変動によって、投資の元本が減ってしまう恐れがあるときには、そのことを事前に説明しなければならないと規定しています。

 

(4)インフォームド・コンセント 

 

インフォームド・コンセントとは、正しい情報が十分に伝えられたうえで、顧客が同意することを意味します。ファイナンシャル・プランナーは、プランニングにあたり、顧客に対して提案内容を十分に説明し、顧客がその内容を本当に理解したかどうかを確認し、顧客の同意を得ながら、取引を実行していかなければなりません。

 

★ファイナンシャルプランナーの職業倫理についてはこちらをチェック!

「ファイナンシャル・プランナー(FP)の職業倫理」顧客利益・守秘義務・説明義務・同意・法令遵守

 

(5)法令遵守 

 

ファイナンシャル・プランナーは、金融商品販売法を遵守しなければいけないことは当然です。また、税理士法や弁護士法などの業法に違反して、専門分野の領域を侵したプランニングをおこなってはなりません。

 

もし、マネープランやライフプランをファイナンシャル・プランナーに相談する場合は、上記の法令をしっかり守っているかどうか、相談者側もしっかり見極めることが大切です。

 

 

 

岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士

 

 

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