組織図は「シンプルなほどよい」理由
部長は課長のうえの役職、課長は係長のうえの役職といったように、組織図上でうえに示されている役職は責任の大きさを表すものであり、責任の大きさと部下の数とは比例していくことが自然です。その原理原則が守られていない組織図ではいけません。
たとえば、部下がいないのに部長と呼ばれている人がいたり、部下がいる主任といない主任がいたり、特命のようなイレギュラーな役職が乱立していたりすると、部下は「役職とはいったいなんなのか」や「いまやっている仕事の責任は誰にあるのか」などと余計なことを考えてしまいます。
指示を出す権限は、その責任を果たすために上司に与えられているものです。その責任とひも付かない役職があると、指示系統も曖昧になり、各人が組織図と関係のない位置関係をつくろうとしてマウントを取り合うことがあります。年齢や社歴、現場の詳しさや前職の経験などを持ち出し、意見を通そうとする人も出てくるのではないでしょうか。
組織図はシンプルなほどよいです。複雑化するケースは配置された個人にその機能を任せるのが不安なことから、サポートスタッフや補佐、副がつく役職が増えているというものです。副部長、課長補佐などはその責任が明確であればよいのですが、部長や課長をサポートする立場として設定されることがあります。
その場合、副部長が部長のような動きをしているが、責任は部長がとるので、結果が悪くても副部長はとがめられないなどということが起きがちです。一度仕事を任せた以上は結果を残せるようにマネジメントで改善することが望ましいので、組織図はシンプルにしておくことをお勧めします。
毎月アップデートし、誰でも見られるようにする
組織図は社員が日々仕事をする際に認識しておくべきことが詰まっているものです。したがって、すべての社員が自分の位置、指示系統を認識しておくことが大事です。会社のなかの担当部門が毎月アップデートし、そのたびに全社員に告知するとともに、すべての社員がアクセスできるところに組織図を格納しておきましょう。
組織図どおりに組織が動いていないのであれば、指示系統を組織図に合わせるか、組織図を変えなければいけません。組織図が形骸化している状態では、部下が迷い、戦略実行のロスタイムになります。いかがでしたでしょうか。組織図を比較的簡単に考えていた方、いかに組織図が大事か、おわかりになったでしょうか。
吉原 将之
株式会社識学
事業戦略本部 本部長 上席コンサルタント