それぞれ独自の「格付けシステム」を持っている銀行
5店舗を超えるお店を経営する規模になると、銀行からのプロパー融資を検討する機会も増えてくると思います。
なぜなら、信用保証協会の保証付き融資には限度があり、2、3店舗の展開であれば限度額内で収まるかもしれませんが、店舗数が増えれば、限度額以上の資金が必要になる人も増えてくるからです。
プロパー融資には信用保証協会のような限度額がなく、また、保証料を支払うこともありません。ただ、その代わり融資の審査は厳しく、経営状況などが良ければ有利な条件で融資を受けられますが、反対に状況が悪ければ、融資が受けられない、あるいは融資が受けられても返済条件や金利の条件が厳しいという場合もあるのです。
では、店舗や経営者の状況を、銀行はどのようなことで判断するのでしょうか。その目安となるのが、これからご紹介する12段階のランキングです。一般に「格付け」と呼ばれているもので、銀行に融資の申請をすると、基本的にはあなたの会社は12のランクのどこかに格付けされることになります。
これからご紹介するのは、筆者の会社が作成した銀行の格付けシステムのランキングです。銀行によって多少の違いはありますが、基本的にはこのような内容になっているはずです。
なぜ筆者の会社がオリジナルで作成しているのかというと、どの銀行も格付けの内容は原則非公開だからです。融資を申し込んだ本人でさえ、基本的には自分の会社がどのランクに格付けされたかを知ることはできません。
そこで、融資の行方をシミュレーションするために、銀行の会計監査に携わり、銀行本部とお付き合いした経験を生かしながら、よりリアルな格付けシミュレーションのできるシステムを構築したのです。
要注意先に格付けされた場合、融資を受けるのは難しい
格付けは、1から12まであり、1に近いほうが格付けは高く融資の条件が有利になります。これを銀行の立場で言い換えれば、1に近いほうがリスク(貸したお金が返って来ない)は低いということです。まず、格付け1から6までを見てみましょう(下記図表1参照)。
格付け1から3にランキングされれば、それは素晴らしいことですが、中小企業の場合、優良な企業は3に格付けされることはありますが、基本的には3までに格付けされることはほとんどなく、大抵は4から6の間に格付けされます。ここまでにランキングされれば、融資を受けることはできると思います。そして、格付けが高くなるほど融資の条件は基本的にはよくなります。
【図表1 銀行の格付け1~6】
次に格付け7から12です(図表2)。こちらにランキングされると、融資を受けるのはかなり厳しい状況です。これまでにお付き合いのある銀行であれば、格付け7でもぎりぎり融資してくれるかもしれませんが、新規でお付き合いをするような場合は、貸してもらえないと思ったほうがいいでしょう。
さらに、格付け8以降では、お付き合いのあった銀行でもほぼ貸してもらえません。銀行から融資を受けて資金調達することは、もはや不可能と考えたほうがいいでしょう。
【図表2 銀行の格付け7~12】
このことからも、銀行からの融資を考えるなら、格付けを1つでも上げることが大事だとおわかりいただけると思います。
そして、格付けを上げるには経営状況をできるだけよくすることです。その自覚をもって店舗をマネジメントしていくことがオーナーのみなさんには求められているのです。