ストライキで政府が動くも「火に油」の結末に
ストライキではまた、「問題は医師の全体数ではなく、外科、産婦人科、胸部外科などリスクの高い分野の医師に対する診療報酬が少ないため、その分野を志す人が少なくなった結果、その分野の医師が少なくなっている」という主張がありました。
これを受けて韓国の保険福祉部(日本でいう厚生労働省)は、その解決策として公立の医大を設立すると発表しました。医師会への相談もなく、コロナ禍で大変なときの発表だったこともあり世論は混乱しました。
さらに、その設立しようとしている公立大では親のコネで筆記試験なしに入学できる枠が含まれていることが発覚し、火に油を注ぐことになりました(こんなことを平気で行っていたら、韓国の医療は世界的にも信頼を失いますよね?)。
ストライキに対し、「国民の命を担保にするとはなにごとか!」という意見もありましたが、政府のやり方への怒りが上回り、ストライキを支持する国民は少なくなかったようです。このストライキにより、3,000人近くの医大本科4年生(6回生)の学生が翌年の医師国家試験受験を放棄。政府もこの学生達に国家試験を受けるチャンスを与えませんでした。今回のストライキの最大の犠牲者は医学生たちになってしまいました。
政府は診療報酬を上げるつもりはなく、国民も安い医療費に慣れてしまっています。値上げへの反発が政府に大きく影響することは、政府も十分承知しているでしょう。医療体制の改善はかなり難しいようです。韓国人医師の海外流失と保険外診療の美容整形医師が多い要因のひとつです。
しかし、韓国では旧来からの体質にうんざりしている若き医師や医学生たちがいることは事実です。医学生を中心として、韓国の医療業界に対する不満が爆発した結果が、先述のストライキです。これを機に世論や業界、政府に対する不安や問題をさらけ出すことは、変革を必要とする流れを生むことに繋がります。
医学生の心には、医師としての倫理感の強さが現れているのではないでしょうか。 このことは、圧倒的な反対意見に押されていたオンライン医療が浸透するきっかけのひとつにもなっているようにも思えます。
鈴木 幹啓
すずきこどもクリニック院長
〈オンライン診療に新たな革命/ラディアル型オンライン診療システムとは?〉
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