(※画像はイメージです/PIXTA)

政府・与党は2022年10月26日、妊娠・出産した女性を支援する「出産準備金」を2023年1月から支給する方針を明らかにしました。金額は合計10万円で、分割支給されます。本記事では制度の概要と問題点についてお伝えします。

結局は一過性の給付…残された課題とは

以上が出産準備金の概要ですが、もちろん、これだけで少子化対策や子育て支援としての大きな効果が見込めるわけではありません。以下の問題への早急かつ抜本的な対策が求められます。

 

◆働きながら育児をする環境の整備

子育て支援は金銭等の「給付」だけではありません。

 

共働き世帯が多数となっており、しかも、共働きでなければ十分な稼ぎが得られないという実態があります。したがって、働きながら育児をする環境の整備は急務です。

 

そうであるにもかかわらず、育児の負担がもっぱら女性に集中する傾向がみられます。女性が育児のため勤務先を退職せざるをえなくなったり、男性の育児休業の取得が困難だったりといった事態は、今なお、改善されたとは言い難い状況です。

 

非協力的な事業者や法令違反を犯した事業者に対してある程度重いペナルティを与えるなど、実効性をもたせる取り組みが求められています。

 

◆高騰する教育費への対策

高騰する教育費への対策も重要です。経済が停滞し親の所得が伸びないにもかかわらず、教育費は高騰の一途をたどっています。

 

文部科学省「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査」の結果によれば、大学の授業料は一貫して上昇し続けています。

 

特に私立大学の授業料の高騰はすさまじく、平均値をみると、2001年(平成13年)には年間799,973円だったのが、2021年(令和3年)には年間930,943円となっています。

 

繰り返しますが、この間、経済が停滞し所得も伸びていないのです。

 

そんななかで、教育を受ける機会の均等をはかる政策も急務となっています。現に、子育て世代のなかにも、いわゆる「就職氷河期世代」をはじめとして、貸与型奨学金の返済に苦しんでいる人がたくさんいます。

 

高騰する教育費への対策を打たなければ、取り返しのつかないことになりかねません。

 

出産準備金の支給や出産育児一時金の引き上げは、あくまでも一過的なものにすぎないといえます。

 

政府は、少子化対策・子育て支援に本腰を入れて取り組むのであれば、働きながら育児をする環境の整備や高騰する教育費といった根源的な問題についても、早急かつ実効性のある取り組みが求められます。

 

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