(※写真はイメージです/PIXTA)

テストする、つまり「思い出す」ことによって記憶の長期化が促進されるのがテスト効果です。テスト効果は記憶の定着率が50%以上もアップするという研究結果があります。記憶力日本選手権大会6回の最多優勝者の池田義博氏が著書『世界記憶力選手権グランドマスターの驚くほど簡単な記憶法』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

勉強がはかどっているのに何が問題か?

【相談4】このまま進めていてはいけないのですか

 

前回の訪問からしばらく経って、また山田さんから連絡がありました。何か困ったことでも出てきたのかなと思いましたが、今回は違い、何やら勉強がはかどっているらしく、その報告とお礼も兼ねて伺いたいとのことでした。それはよかったですねということで、また会うことになりました。

 

これまでは悩みを抱えての訪問だったので、山田さんの顔は浮かないものでしたが、今回は明るい顔でやってきました。

 

山田さん:『スピード重視の記憶法を教えてもらったおかげで、とても勉強がはかどっています。今までは確実に頭に入るまで集中してから次に進むということをやっていたので、気持ち的にもとてもきつかったです』

 

山田さん:『でも今は、たとえその時点で記憶が薄くても進むことが重要とわかり、ストレスなく勉強に取り組むことができています。この間、教科書の1周目を終了しました。今、2周目に入っています』

 

私:『このスピード重視の記憶法は、いわば家を建てるようなものなんですよ。家を建てるときの順番として、玄関ができたらそこにつながる次の場所に移って、そこも完成したら隣に移るという進め方はしませんよね』

 

私:『まずは家全体の骨組みを建てるはずです。そこから徐々に内装になり、配線または壁や窓やドアの取付けをしていく。そうして立派な家になります。記憶も同じなんです』

 

私:『ところで山田さん。はかどっているのは結構ですけど、これまでどれだけ学習内容を覚えたのか確認する時間はとっていますか。もしくは、模擬試験のようなものは受けていますか』

 

山田さん:『いえ、全然。本番までこんな感じで進んでいこうと思っていましたが、何か問題はありますか』

 

私:『大ありです。このまま何も考えずに進むと危険です。その理由をお話しましょう。いや、今日来てもらってよかったです』

 

そこで、危険である理由を山田さんにお話することになったというわけです。

 

次ページ「流暢性の罠」が記憶の定着を妨げる

本連載は池田義博氏の著書『世界記憶力選手権グランドマスターの 驚くほど簡単な記憶法』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

世界記憶力選手権グランドマスターの驚くほど簡単な記憶法

世界記憶力選手権グランドマスターの驚くほど簡単な記憶法

池田 義博

日本能率協会マネジメントセンター

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