(※写真はイメージです/PIXTA)

60歳で定年を迎え、その後、嘱託社員として再雇用される場合でも、通常は収入が大きく下がります。再雇用者からは「生活できない」という声も聞かれ、生活に不安を覚える方も多いはず。そこで知っておきたいのが、60歳以降に減った収入の一部を補てんする制度、「高年齢雇用継続給付金」です。本制度の対象者や申請の手順、注意点などについて見ていきましょう。籾山善臣弁護士(リバティ・ベル法律事務所 代表弁護士)が解説します。

高年齢雇用継続給付金の申請期限

高年齢雇用継続給付金の申請期限は、初回の支給申請と2回目以降の支給申請でそれぞれ異なります。

 

初回の支給申請については、最初に支給を受けようとする支給対象月(受給要件を満たし、給付金の支給の対象となった月)の初日から起算して4ヵ月以内に提出することになっています。

 

2回目以降の支給申請については、管轄公共職業安定所長が指定する支給申請月の支給申請日に提出することになっています。

 

上記期限を徒過してしまうと、原則として、給付を受けることができません。もしも、期限を徒過してしまった場合には、ハローワークに早急に相談しましょう。

高年齢雇用継続給付金を申請する場合の注意点2つ

高年齢雇用継続給付金については、基本的には労働者にとってメリットのある制度です。しかし、場合によっては、損をしてしまうことや支給を受けられないことがあります。高年齢雇用継続給付金を申請する場合には、以下の2つの点に注意するようにしましょう。

 

注意点1:年金が減額されることがある

注意点2:再就職手当と高年齢再就職給付金は併用できない

 

それぞれの注意点について説明していきます。

 

■注意点1:年金が減額されることがある

高年齢雇用継続給付金を申請する場合の注意点の1つ目は、年金が減額されることがある点です。特別支給の老齢厚生年金(在職老齢年金)の支給を受けている場合には、これに加えて高年齢雇用継続給付金の支給を受ける期間については、年金が減額されてしまうことがあります。

 

具体的には、60歳到達時の賃金月額に対する標準報酬月額の割合に応じて、図表7のとおり年金の一部が停止されることになります。

 

[図表7]年金停止率

 

 

■注意点2:再就職手当と高年齢再就職給付金は併用できない

高年齢雇用継続給付金を申請する場合の注意点の2つ目は、再就職手当と高年齢再就職給付金は併用できない点です。

 

再就職手当と高年齢再就職給付金は、両方同時にもらうことができません。そのため、どちらの支給要件も満たしている場合には、いずれの給付を受けるか慎重に選ぶことになります。

 

[図表8]再就職手当と高年齢再就職給付金の比較

 

以上のとおり、今回は、高年齢雇用継続給付金とは何かを説明したうえで、計算方法や申請方法をわかりやすく解説しました。

 

この記事が嘱託社員として再雇用された後のお給料が下がってしまい困っている方の助けになれば幸いです。

 

 

籾山 善臣

リバティ・ベル法律事務所 代表弁護士

 

※本連載は、リバティ・ベル法律事務所が運営する法律情報サイト『リーガレット(https://legalet.net/)』のコラムを転載したものです。

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