管理職の平均給与はいくら?
管理職の給料(年収)の平均は、係長367万円・課長476万円・部長577万円となっています(図表1)。これに対して、非管理職の給料(年収)の平均は277万円にとどまっています。そのため、非管理職と係長では90万円・非管理職と課長では199万円、非管理職と部長では300万円程度の給料の格差があることになります。
ただし、上記給料の平均については、残業代が含まれていません。そのため、「管理職になったことにより残業代が支給されなくなった方」と「非管理職」については、残業代も含めて賃金を比較すれば、その格差は縮まるものと考えられます。
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<メモ:~業界別の管理職の給料金額~>
業界別の管理職の所定内給料金額を整理すると図表2のとおりとなります。部長の給料金額が高い順に整理しました。
1位は、「金融業・保険業」で、部長職の所定内給与金額は814.5万円となっています。他方で、非役職者の給与金額は298.5万円となっており、500万円以上の乖離があるところが特色です。
2位は、「電気・ガス・熱供給・水道業」で部長職の所定内給与金額は770.9万円となっています。非役職者の給与金額も373.7万円と他の産業に比べて高水準となっているところが特色です。
3位は、「医療・福祉」で部長職の所定内給与金額は767.1万円となっています。非役職者の給与金額は281万円となっており、乖離が大きくなっています。
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管理職の給料が他の社員より高いのはなぜ?
なぜ管理職の給料が他の社員よりも高いのか疑問に感じている方もいますよね。管理職の給料が他の社員よりも高い理由としては、以下の3つがあります。
理由1:責任が重い
理由2:勤続年数が長い
理由3:固定金額が大きい
それでは各理由について順番に説明していきます。
■理由1:責任が重い
管理職の給料が他の社員よりも高い理由の1つ目は、責任が重いことです。管理職になると、担当するプロジェクトを最後まで遂行する責任、問題が生じた場合の説明責任、減給や降格などの賠償責任を果たすことが求められます。
例えば、部下が業務上のミスをした場合でも、管理職はそのミスをリカバリーするために代案を検討する必要がありますし、不十分な結果となった場合にはその説明責任が伴います。
また、会社に生じた損害の程度によっては、減給や降格など、経済的な責任を求められることもあります。そのため、管理職は、このような責任に見合うように給料も高額となっているのです。
■理由2:勤続年数が長い
管理職の給料が他の社員よりも高い理由の2つ目は、勤続年数が長いことです。日本の年功序列的な賃金制度のもとでは、長く働くほどに、役職も給料も年々上昇していく傾向にあります。そのため、管理職となる段階では、勤続年数も長くなっており、給料の金額も上がっていることが多いのです。
■理由3:固定金額が大きい
管理職の給料が他の社員よりも高い理由の3つ目は、固定金額が大きいことです。管理職になると、残業代が支払われない代わりに、基本給が上昇したり、役職手当が支払われたりする制度設計とされていることがよくあります。
例えば、非管理職だった頃には月20時間の残業をして20万円の基本給の他に月3万1250円の残業代が支給されて合計23万1250円の給料が支給されていたとします(図表3)。
管理職になると、月20時間の残業をしても残業代が支給されない代わりに、基本給の金額を22万円として、役職手当2万円支給することにより、合計24万円の給料を支給するなどの制度設計とされることがあるのです(図表4)。
そのため、管理職になると、固定金額増えるため、残業をしなくても、高い給料をもらうことができる場合があります。
ただし、管理職になっても労働時間についての裁量が十分になく、長時間残業を余儀なくされてしまう方が多いため、残業代が支給されないことによるデメリットの方が大きいのが実情です。