ハンセン指数 16,280.22 pt (▲1.40%)
中国本土株指数 5,512.30 pt (▲1.53%)
レッドチップ指数 3,276.74 pt (▲0.90%)
売買代金1,267億8百万HK$(前日847億5万HK$)
英国の消費者物価指数(CPI)は前年比10.1%上昇
英政府統計局が19日発表した、9月の消費者物価指数(CPI)が前年比10.1%上昇と7月CPIに並び過去40年超で最高の上昇率となった。
欧州ではインフレに対する歯止めが効いておらず、ECBが金融引き締めを実施する可能性は高いことから、深刻なリセッションに陥るという懸念が現実味を帯びてきた。
債券市場ではインフレ抑制のために、米FRBがより強気に金利を引き上げ、上げ幅を拡大するとの予想が広まり、米長期金利の指標となる10年米国債利回りは4.17%まで上昇、14年ぶりの高水準となった。
19日FRBが報告したベージュブック(連銀景況報告)では、米経済活動が9月の前回報告以降、緩やかに拡大しているが、先行き見通しは悲観的だったことも警戒感を煽った。FRBの積極的な利上げが、米国経済にどれだけ影響を与えるか手探りな中、金利水準が独り歩きしてキリ上がるばかりの状態に、抵抗感もでてきた印象がある。
為替市場は一段と米ドル選好が強まった。20日のドル円相場は、ついに1ドル=150円の大台を突破し、32年ぶりの円安ドル高水準を更新した。中国人民元も先月に付けた安値を更新し、1ドル=7.27元と14年ぶりの安値を付けた。
世界的にハイテク株が全面安に
株式市場では、世界的なハイテク・デジタルセクターが下落する中、同セクターの割合が多い香港市場にはより悲壮感が広がった。20日のハンセン指数は再び先週に付けた安値を割り込み、前日比1.4%安の16,280.22と11年ぶりの安値を更新した。同指数は年初から30.4%下落と、グローバルインデックスで最悪のパフォーマンスの一つとなっている。
指数は朝方、安く寄り付くと一時3%強安まで売られ、終値ベースでは2009年のリーマンショック以来、約13年ぶりの安値水準まで下落した。
中国のゼロコロナ政策を巡る懸念が続く中、当局の景気下支え策の期待が後退したほか、また今月初めにはバイデン政権が半導体製造装置の対中輸出規制の適用対象を大幅に拡大する包括的措置を発表するなど悪材料が重なった。
午後には一転して、下げ幅を縮小したもの、ヘッドラインに左右されるボラティリティの高い相場が続く。
20日、中国当局は新型コロナウイルス防疫対策として定める入国者の隔離期間を10日間から7日間に短縮することを協議していることが伝わったほか、中国工業情報化省は、米国の半導体規制強化の悪影響を評価するため、この1週間、主要半導体企業との緊急会合を複数回開催したと伝えた。
どちらも指数を押し上げるには内容としては乏しかったもの、中国の経済成長鈍化は香港市場にとって重く圧し掛かる形となった。
香港市場はテクノロジー株を中心に下落し、ハンセンテック指数は2.37%安、一時5%近くまで下落し統計開始以来の安値を再び更新した。
オンラインゲームの網易(9999)は8.6%安、動画投稿アプリの快手(1024)は8.4%安、インターネット検索の百度(9888)は8.0%安、動画配信のビリビリ(9626)は6.4%安と下げ幅が大きかった。
主要銘柄も軟調となり、バイオ医薬品開発の薬明生物技術(2269)は9.5%安、インターネットサービスのテンセント(0700)は4.7%安、スポーツ用品の李寧(2331)は4.0%安、Eコマースのアリババ(9988)は3.8%安だった。
一方、上記の主要半導体企業との緊急会合から産業支援策の思惑が広がり半導体関連株が反発、半導体ファウンドリーの華虹半導体(1347)は7.0%高、スマホ部品の比亜迪電子(0285)は4.7%高と逆行高となった。
本土株市場は上海総合指数は前日比0.31%安の3,035.05、CSI300は同0.57%安の3,754.93と3日続落した。中国当局は新型コロナウイルス感染を徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策を堅持しており、本土の一部地域では行動抑制が一層強化される見通しなど厳しい状況となった。
中国人民銀行は20日、銀行貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート)を2ヵ月連続の据え置きを発表するなど足元の人民元安を背景に、より一層の金融緩和にも抵抗感がみられる。
午後には入国者の隔離期間を短縮することを検討しているとの報道で一時プラス圏に振れるも、指数は持ちこたえずに反落した。
長谷川 建一
Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>