(※写真はイメージです/PIXTA)

管理職の平均給与はどれくらいなのでしょうか。非管理職よりは多そうですが、意外と「管理職になったら年収が下がった」というケースもあるようです。管理職の平均的な給料を紹介したうえで、なぜ管理職の給料は高いのか、管理職になったら年収が下がった場合はどうすればよいのかについて見ていきましょう。籾山善臣弁護士(リバティ・ベル法律事務所 代表弁護士)が解説します。

「管理職になったら給料減額」は違法の可能性アリ

管理職になって、給料が下がる(減る)場合には、違法となる可能性があります(いわゆる「逆転現象」)。なぜなら、労働基準法上の管理監督者として、時間外手当や休日手当などの残業代を支給しないことが許されるためには、「対価の正当性」が認められる必要があるとされています。

 

つまり、会社が管理職としていても、実際には残業代を払わなくてもいいほどの十分なお給料を支払っていない場合には、労働基準法上は管理監督者に当たらない可能性があるのです。

 

例えば、恒常的に月45時間の残業をして月約8万円程度の残業代の支給を受けていた方が、管理職となり基本給2万円、役職手当2万円の合計4万円分給料が増えたとしましょう。

 

この場合には、管理職となっても、恒常的に月45時間の労働をしている状況にあったのであれば、本来であれば支払うべき残業代の半額しか支払われていないことになるので、対価の正当性は認められないでしょう。

 

[図表5]管理職の給料の逆転現象の例

 

このように、管理職になったことにより、従前の年収よりも、年収が下がってしまう逆転現象が生じている場合には、名ばかり管理職と認定されやすい傾向にあります。

 

名ばかり管理職の場合には、労働基準法上、時間外手当と休日手当を支給しないことは許されませんので、会社が残業代を支給していないことは違法になるのです。

「名ばかり管理職」なら「未払い残業代」が請求可能

あなたが名ばかり管理職であるにもかかわらず残業代が支給されていない場合には、これまでの未払い残業代を請求できる可能性があります。

 

管理監督者に該当するためには、以下の3つの条件を満たすことが必要とされています。

 

条件1:経営者との一体性

条件2:労働時間の裁量

条件3:対価の正当性

 

会社において管理職として扱われている方であっても、これらの条件を満たさない場合には、いわゆる「名ばかり管理職」に過ぎず、法律上の「管理監督者」には該当しないことが非常に多いのです(図表6)。

 

[図表6]同じ「管理職」でも…

 

例えば、以下のような方は、名ばかり管理職に該当する可能性があります。

 

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<ポイント:名ばかり管理職>

□経営会議に参加していない方

□経営会議に参加しても発言権に乏しい方

□従業員の採用や配置について決定権がない方

□職務内容がマネージャー業務ではなく現場作業である方

□タイムカード等により出退勤の管理がされている方

□遅刻や欠勤等をした場合に給料が控除される方

□業務予定や結果の報告が求められている方

□休日を自由に決められない方

□その残業時間に比較して支給されている給料が著しく少ない方

□他の労働者に比べて優遇されているとはいえない方

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名ばかり管理職の方は、時間外残業代と休日残業代が全く支払われていないことが多い一方で基礎となる賃金が高いため、未払い残業代も高額となる傾向にあります。

 

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※本連載は、リバティ・ベル法律事務所が運営する法律情報サイト『リーガレット(https://legalet.net/)』のコラムを転載したものです。

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