(※画像はイメージです/PIXTA)

連鎖販売取引(マルチ商法)で国内最大手の日本アムウェイ合同会社が、消費者庁から、6ヵ月間業務停止の行政処分を受けました。マッチングアプリを介して行った勧誘が「特定商取引法違反」の行為に違反するというものです。本記事では、アムウェイをはじめとして古くからトラブルがあとを絶たない「連鎖販売取引」のしくみと問題点について、関連法令にも触れながら解説します。

連鎖販売取引のトラブルが絶えない根源的理由

では、アムウェイをはじめとして、連鎖販売取引においては、なぜ、昔からこうもトラブルが絶えないのでしょうか。

 

それは、連鎖販売取引のしくみ自体が、本質的に、強引な勧誘を伴いやすく、反社会的な性格を帯びやすいものだからです。この点について、簡単に解説します。

 

まず、前提として、連鎖販売取引において、収益を上げ、利益を増やしていくには、以下の2つが必要不可欠です。

 

・勧誘したメンバーが脱退しないようにする

・勧誘したメンバーに、さらに新しいメンバーを勧誘させる

 

たとえば、ある人が2名を勧誘し、さらにその2名がそれぞれ2名ずつ勧誘していくとします。それを繰り返し、トータルの人数を足し合わせていくと、26回で「1億3,421万7,727名」に達し、日本の人口を超えます(【図表1】参照)。

 

【図表1】「1人あたり2人」の勧誘を26回繰り返した場合のトータル人数

 

なお、高校の数学の授業で扱われる「等比数列の和の公式」を覚えている方はすぐピンとくる話だと思います(【図表2】)。

 

【図表2】等比数列の和の公式による計算

 

このように、連鎖販売取引は、そもそもパイが限られているのです。

 

そんななかで、メンバーがそれぞれ2名ずつ勧誘して会員にするだけでも大変なことです。ましてや、勧誘したメンバーが脱退しないようにしながら、そのメンバーにさらに新しいメンバーを勧誘させるのは、至難の業なのです。

 

したがって、これらをなんとか遂行するために、以下のようなことが行われやすいのです。

 

・自分が勧誘したメンバーをつなぎとめるための啓発活動

・新メンバー獲得のための強引な勧誘行為

 

だからこそ、連鎖販売取引は、特定商取引法によって厳格な規制がしかれているのです。

 

アムウェイはどうでしょうか。

 

まず、啓発活動については、会員からカリスマ的な人気や人望を得ている人がおり、自己啓発本を出すなどしています。また、アムウェイの勧誘をする人は、「夢」「成功」などについて嬉々として語ります。これは上の階層の人から啓発を受けた結果だと考えられます。さらに、アムウェイが企業として社会貢献活動を行っていることも強調します。

 

強引な勧誘行為がみられることについては、以前から問題になっているのは周知のとおりです。今回の件で改めて実態が明らかになりました。

 

アムウェイをはじめとする連鎖販売取引事業者には、単に「法令順守」を強調しアピールするだけでは足りず、連鎖販売取引のしくみ自体に上述のような構造的な問題があることを認識したうえで、メンバーに対するそういった意味での「啓発」を行うことこそが求められているといえます。

 

また、連鎖販売取引にかかわる人、あるいはこれから始めようか検討している人も、連鎖販売取引に厳しい法規制が行われている根本的な理由を十分に認識したうえで行動することが求められます。

 

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