運用資金の目安は「損失を許容できる金額」から決める
個人が資産運用を開始するにあたり、いくらぐらいからスタートすべきなのでしょうか?
若いご夫婦が資産運用の相談を持ち掛けたのは、公認会計士のK先生。K先生は、運用する金額は「自分が許容できるリスクの大きさを決める」ことで決定するという説明とともに、資産運用のために最適な金融商品は、「インデックス・ファンド」だと明言しました。ではなぜ「アクティブ・ファンド」は選択すべきではないのでしょうか?
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インデックス・ファンドとアクティブ・ファンドを比較
夫:先生から、インデックス・ファンドは〈トッピング全部乗せラーメン〉、アクティブ・ファンドは一流シェフによる〈選りすぐり具材乗せラーメン〉だと教えていただきました。どちらが儲かるのですか?
K先生:〈全部乗せ〉は、工夫がないから味は並みだよね。インデックス・ファンドは、株式で運用するときの平均くらいになるんだよ。
夫:平均ですか? 中くらいの成績だということですよね。平均よりも上を狙うべきではないですか?
K先生:もう一方のアクティブ・ファンドは、〈厳選した具材をのせているラーメン〉だよね。これは、運用のプロが値上がりしそうな株式を選んで、平均を上回る成績を目指しているんだ。その努力は認めたいところだね。
夫婦:プロの運用ですね! そのほうがよさそうじゃないですか?
それぞれの過去の成績を比較してみると…
K先生:そこに落とし穴があるんだよ。〈目指している〉だけで、結果が伴っていないんだ。過去の実績を見ると、アクティブ・ファンドの成績は、インデックス・ファンドの成績を下回っているんだ。
妻:えっ、そうなんですか! 一体なぜでしょう?
K先生:前に「初心者向けの金融商品なんて売られていない」って話をしたけれど、覚えているかな? 逆にいうと、プロが運用しても素人が運用しても、成績に差はないってことだね。
いくら専門家でも、ずっと勝ち続ける保証はない
夫:でも、プロは将来を予測できるんじゃないですか?
K先生:いや、いくら専門家だからといって、将来まで予測することは不可能なんだ。過去の実績では、6割のアクティブ・ファンドが市場平均を下回っているよ。
夫:でも、証券会社の人から「このファンドの成績は、市場平均を大きく上回るものです」といわれてアクティブ・ファンドを提案されましたが…。
K先生:それは、過去にたまたま勝った実績を見せているだけで、将来も勝ち続ける保証なんてないんだよ。
アクティブ・ファンドは手数料が高すぎて儲からない!
妻:それでも、プロの運用成績が下回っているというのは、おかしくないですか?
K先生:それはね、簡単な話だ。彼らが高いお給料をもらって仕事しているからだよ。そのお金が継続的にちょっとずつ出て行くから、投資信託が目減りするっていうことだね。
妻:確かに、金融業界の人たちはものすごく年収が高いっていわれていますよね…。
K先生:費用として年間2%取られるなんていうアクティブ・ファンドがたくさんあるよ。
妻:えっ、2%も取られるんですか? 10年間運用したら、2割お金が減るっていうことですか?
K先生:そういうことだね。その一方で、インデックス・ファンドは費用がほとんどかからない。なにも考えずに「全部入れ」するだけだからね。目減りするお金が小さいインデックス・ファンドの成績が上回るのは当然なんだよ。
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手数料の高い投資信託「アクティブ・ファンド」の成績が悪いのはなぜ?【第4話】
販売員の態度に惑わされないよう、知識を身につけよう
夫:でも、証券会社の窓口の方は、礼儀正しいし、丁寧だし、とても親切に商品説明をしてくれるし…。
K先生:公認会計士の立場から、はっきりいおう。銀行や証券会社で勧められた商品を買うことは絶対にやめたほうがいい。自分で勉強して商品を選ぶことだよ!
夫婦:えーーーっ! やっぱり勉強ですか!
K先生のレクチャーのまとめ
●「具材全部乗せ」のインデックス・ファンドのほうが、個人の運用に向いている
●「厳選具材乗せ」アクティブ・ファンドは、手数料が高すぎて儲からない
●販売員の対応や商品のイメージ戦略に惑わされないよう、知識を持つことが大切
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岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士
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