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「甘言に惑わされず、堅実な投資を」というけれど…
資産形成について悩む若い夫婦が、よく相談をもちかけている公認会計士のK先生。
K先生の説明では「金融商品、生命保険、マイホーム購入のときには、販売業者から騙されないように注意しよう」「金融窓口の〈高金利〉といった甘言に惑わされずに、堅実な運用をしていきましょう」ということでした。
では、〈お金の専門家〉は、自分のお金をどのように増やしているのでしょうか。K先生はどうでしょう？
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「先生自身の資産運用は、どのように行ってますか？」
妻：投資信託はインデックス・ファンドがいいとか、貯蓄ができる生命保険はダメだとか…。まだよく意味が理解できないのよね。
夫：面倒だから、K先生のやり方をマネしてしまおうか？
＊ ＊ ＊ ＊ ＊
夫婦：K先生、質問です。ご自身の資産運用はどのように行っているのでしょうか？
K先生：よぉし、お答えしよう。私は、楽天証券の口座で「EMAXIS Slim」を買っているよ！
夫：えーっ！ K先生は、これまで大手金融機関に勤務されてきましたよね。それなのに楽天証券なんですか？ 本当はスパイ映画みたいに、スイス銀行に隠し口座でもあるんじゃないんですか…？
K先生：そんなの、あるわけないでしょ！
「同じ商品なのに、証券会社で費用が違うんですか？」
妻：それにしても、なぜ大手証券会社ではなく楽天証券なんですか？
K先生：「EMAXIS Slimを買えるかどうか」、理由はそれだけだよ。これは大手証券会社では売ってないんだ。
夫：「EMAXIS Slim」ってなんですか？
K先生：私が選んだインデックス・ファンドなんだ！
夫：なぜEMAXIS Slimを選んだのですか。
K先生：ここは〈運用費用を業界で最も安くする〉という目標を掲げているんだよ。その姿勢が気に入ったんだ。
妻：楽天証券しか買えないのですか？
K先生：ほかにもいくつか販売している証券会社があるけど、あまり多くないね。大手証券会社では、「EMAXIS Slim」の「Slim（スリム）」が付いていない、「EMAXIS」という似たような名前の商品が売られているんだけど、これは、中身が同じなのに費用が3倍くらい高い商品なので、要注意だね。
夫：えーっ！ 同じ商品でも、証券会社によって費用が違うんですか？
K先生：そうだよ。営業マンの人件費を負担するかどうか、違いがあるからだね。
最も豪華な全部乗せラーメンを作ろうと考えるなら…
夫：K先生、EMAXIS Slimにはたくさん種類があるようですね。私が購入するとしたら、どれを選んだらいいのでしょう。株式や債券を選んで組み合わせるのでしょうか？ 私にはさっぱりわかりませんが、先生は何を選んでいらっしゃるのですか？
K先生：私は「全世界株式」を買っているよ。インデックス・ファンドは、上場企業の株式をまんべんなく組み入れてパッケージ化している商品だから、投資対象となる地域を選ぶだけでいいんだ。国内株式、先進国株式、新興国株式などを選ぶことができるけれど、最も豪華な全部乗せラーメンを作ろうと考えるならば、「全世界株式」を買っておいて問題はないよ。
iDeCoとNISAもついでに開設！
夫：わかりました。でも、楽天証券って、ネット通販とか携帯電話の会社のグループ会社ですよね？ ちょっと心配な気が…。
K先生：心配ないよ。だって、単なる販売業者にすぎないからね。君たちもAmazonで家電製品を買うだろう？ それと同じだよ。投資信託の商品そのものは、別の会社が作っていて、中身は安全な場所に保管されているから、安心していいよ！
妻：iDeCoとNISAはどうされているんですか？
K先生：楽天証券の一般口座を開くと、そこで同時にiDeCo口座とNISA口座も開くことができるよ。毎年、限度額いっぱいまで投資しているよ！
シンプルな資産運用で、手堅く必要なお金を増やそう
妻：そうなんですか！ K先生がそんなシンプルな資産運用を行っているなんて、ちょっと信じられません…。食品に例えるなら、身近なスーパーマーケットのプライベートブランド商品を買うような感じですよね。
夫：もしかして本当は、手数料が高くても、めちゃくちゃ成績がいい金融商品があったりして！ 「超一流デパートの、高級ブランド食材を買ってます」みたいな…！
K先生：公認会計士の立場からはっきりいいますよ！ そんな金融商品は絶対に存在しません。高い利回りを目標にしているアクティブ・ファンドはたくさんあるけど、過去の実績を見るとボロ負けなんだよ。
「私が死んだら…」ウォーレン・バフェット氏の遺言
夫：えーっと…。「アクティブ・ファンド」ってどんな商品でしたっけ？
K先生：たとえば、こんな感じのカッコいい名前がついている投資信託だね。〈グローバル成長戦略ファンド〉〈最先端テクノロジー未来ファンド〉…みたいな。
妻：でも、これからの時代、GAFAのような最先端のデジタル技術を持っている企業が成長するんですよね？
K先生：そうだね。GAFAのような企業の株式もインデックス・ファンドに組み入れられているから、心配する必要はないよ。アメリカで「投資の神様」と呼ばれる有名なウォーレン・バフェット氏は、「私が死んだら、全資産の9割を米国株式のインデックス・ファンドで運用しなさい」という遺言を残しているそうなんだ。「投資の神様」のいうことが真実だと考えたほうがいいよ。
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アクティブ・ファンドや終身保険、一体どうしたら…
妻：わかりました！ でも、間違ってアクティブ・ファンドを買ってしまった場合は、どうすればいいでしょうか？
K先生：いますぐに全額を解約すべきだね。いますぐに、だ。
夫：生命保険はどうでしょうか？ 実は、35歳になる私の兄が「終身保険」に入っているんですが、この保険はどうでしょうか？
K先生：保険とは、「偶然起こる損失に備えて、多数の人たちがお金を出し合って助ける仕組み」だよね。だから、ほとんどの人が、お金を掛け捨てにしないと、保険自体が成立しないんだ。終身保険は、死亡時に必ず保険金がもらえる商品だよね。これは純粋な保険ではなくて、ほとんどが貯蓄なんだよ。つまり、保険金のために、保険料をコツコツ貯めていく商品だということ。終身保険の中身は、ファンド・ラップだと考えていい。いますぐ全額を解約すべきだね。
夫：えーっ、そうなんですか！ いますぐ解約するよういわなくちゃ！
岸田 康雄
国際公認投資アナリスト／一級ファイナンシャル・プランニング技能士／公認会計士／税理士／中小企業診断士
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