新築マンションを購入すべきか、それとも一生賃貸で暮らすべきか…。頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。老後までにかかる資金を計算すると、意外な結論が出るケースもあることから、広い視野で考え、決断することが大切です。公認会計士・税理士の岸田康雄氏がアドバイスします。

不動産営業マンと、新築タワマンのモデルルームへ

資産形成を目指している若い夫婦ですが、今度はマイホームについて悩んでいます。今日は、郊外に建つ新築タワーマンションの内覧にやってきました。

 

夫:うわぁ! この部屋からの眺め、サイコーだな!

 

不動産屋:ご主人! 賃貸は毎月家賃を捨てるようなものですけど、マイホームを買えば、この部屋がご自身の資産になるんです。住宅ローン金利が低い、いまが絶好のチャンスですよ!

 

夫:うーん。でも、3LDKで6,000万円は高いかなぁ。まあ、住宅ローンの返済が毎月18万円くらいだったら…共働きを続ければなんとかなるかな?

 

妻:そうねぇ…。K先生に相談してみましょうか。

新築マンションを買えば、資産形成になる?

夫:K先生、ちょっと郊外なんですが、6,000万円の新築分譲マンションを買うかどうか悩んでるんです。いま、うちは家賃12万円の賃貸に住んでいます。賃貸だとお金を捨てるようで、もったいないですよね。マイホームを買えば、資産形成になるのでしょうか? 老後に住む家がないと不安ですし。

 

K先生:なるほど。賃貸かマイホーム購入か、悩んでいるわけだね。でも、マイホームが資産形成になるかどうかは微妙な感じだね。

 

妻:ええっ! そうなんですか!? マイホームが絶対にお得だと思っていました…。

住宅購入で考慮すべきお金の話、2つ

K先生:住宅は保険と同じように、高い買い物だよね。ものすごく長期間にわたって支払い続ける買い物は、わずかの金額の違いが、トータルで数百万円、数千万円の違いになるから、本当に注意しなければいけないんだよ。

 

夫:確かに、銀行の自動引落は、支払っているという感覚があまりないですね…。

 

①老後生活…介護施設を利用するケースを考える

K先生:君にひとつ質問しよう。老後、自分の介護を自宅で奥さんにやってもらいたいと思う?

 

夫:うーん。妻にはずっとそばにいてほしいですけれど、私の介護をやらせるのは、ちょっと…。

 

K先生:そうだよね。いまは、ほとんどの高齢者が老人介護施設に入居しているんだよ。医療や介護はすべて揃っているから、自宅で暮らすより快適なんだ。そうすると、持ち家があるから老後が安心というわけではなくて、「老人介護施設への入居費用を支払うお金があるかどうか」が重要なんだよ。

 

妻:確かに…。冷静に考えると、そうですね。

 

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②住宅ローン金利…負担額はかなり大きい

K先生:それに、マイホームを買うと金利がかかるよね。いま低金利といわれていても、35年間でいくら金利を支払うことになるか、わかっているかな?

 

妻:いまは低金利で、0.5%らしいです。そこまで気にすることはないと思いますが…。

 

K先生:ちょっと待ちなさい。0.5%というのは変動金利だよね? 変動するっていうのは、いつか金利が上昇して、2%や3%になる可能性があるっていうことだよ。

 

妻:えーっ、そうなんですか! 高いんですね…。

 

K先生:固定金利だと、いま1.5%くらいだろうね。それでも6,000万円の住宅ローンを借りたら、諸経費を含めてトータルで8,000万円くらい支払うことになるよ。

 

夫:2,000万円も増えるんですか!? せっかくNISAやiDeCoで貯めたお金が一気に消えてしまうじゃないですか…。

 

K先生:そうだね。住宅ローンの金利は見えないけれど、大きな負担になっているんだよ。

購入か、賃貸か…トータルの支払額はどっちが安い?

夫:それでも、住宅ローンを毎月18万円返済していけば、35年後には自分のものになるんですよね? 売れば老後資金になりますよね?

 

K先生:確かにそうだね。しかし、築35年の中古マンションを売るとしても、その価格は半値の3,000万円くらいまで下がっているんじゃないかな? それなら、家賃12万円くらいの賃貸に住みながら、インデックス・ファンドを毎月3万円ずつ買い続けていれば、35年後には3,000万円になっているよ。3,000万円を貯めることができれば、どちらでもいい話だけど、トータルの支払い額は、賃貸に住んだほうが断然安くなる可能性が高いね。

 

★賃貸とマイホーム、どちらがいいかはこちらをチェック

【新築マンション購入】賃貸とマイホーム、大損するのはどっち!?【第9話】

「新築マンションは高すぎる。購入はやめるべき」

妻:それでも私、マイホームを持つことが夢なんです…。

 

K先生:マイホームは一種のステイタスだから、君たちがほしがる気持ちもわかるよ。それでも、「新築マンション」を買うことだけは、絶対にやめるべきだ。高すぎるから。

 

夫:えーっ! なぜですか?

 

K先生:新築マンションの価格は、間違いなく割高なんだよ。豪華なモデルルーム、美しいパンフレット、派手な広告宣伝費が上乗せされているからね。価格の2割から3割が不動産屋の利益だろうね。それに、新築マンションは一度住んだら、中古マンションになる。中古になると、価格が一気に下がるよ。

 

夫婦:新築マンションって、そんなに高い買い物だったんですね…!

 

 

岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士

 

 

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