(※写真はイメージです/PIXTA)

敗戦後、焼け野原となった日本が奇跡的な復興を遂げ、すさまじい勢いで経済発展を遂げたのはよく知られているところです。その後、バブル経済からバブル崩壊を経て、長い景気低迷に入り、いまなお苦しい状況が続いています。それら一連の流れについて、経済評論家の塚崎公義氏が平易に解説します。

地価と株価が異常に高騰した「バブル期」

バブル期には、金融が緩和されていたため、借金で土地を買う人が多く、地価が大幅に値上がりしました。株価も日本経済に対する自信から大幅に値上がりしました。

 

人々は、「日本経済は世界一なのだから、地価や株価が高いのは当然だ。もっと値上がりするだろう」と考えて積極的に土地と株を買いました。その結果、あとから振り返ると「異常だった」と感じる水準にまで高騰したわけです。

 

土地や株を持っていた人が儲かって贅沢したのはもちろんですが、「これからは日本の時代だ」と思った人々は、将来の給料増加を当てにして贅沢をしたので、景気は絶好調でした。皆が高級な家財道具等々を買っていたのです。

バブルの後遺症は「好況の反動」「金融危機」の2段階

バブル後遺症の第一弾は、好況の反動でした。バブル期に贅沢をしていた消費者たちは、バブル崩壊後に節約に努めました。そもそも高級な家財道具等はすでに持っているので買いませんでしたし…。

 

企業も、経済成長を信じて過大な工場を建て、そのために過剰な借金を背負い、過剰な人員を雇っていましたから、景気が後退すると苦境に立たされました。だれも工場を建てず、人も雇わなかったので、失業率が上昇したわけですが、そのタイミングで就職活動をした人々は大変苦労したようです。

 

好況の反動による需要の落ち込みが一段落したあとを襲ったのが、金融危機でした。バブル期に借金で不動産を購入した投資家(投機家?)が、不動産価格の下落によって倒産し、借金が返済できなくなり、銀行が巨額の損失を被ったのです。

 

銀行には、自己資本比率規制というものがあります。簡略化していえば、銀行は自己資本の12.5倍までしか融資をしてはならないのです。したがって、銀行が巨額の損失を被って銀行の自己資本が減ると、銀行は減った自己資本の12.5倍まで融資残高を減らさなければなりません。そのため、融資の依頼を断る必要が出てきます。「貸し渋り」といわれる現象ですが、それによって給料が払えずに倒産した中小企業なども、多数出てきたわけです。

金融危機後の20年…需要不足による経済の低迷が継続中

金融危機が収束したあとも、20年にわたって日本経済は低迷が続いています。原因は需要不足なのですが、なぜ需要不足なのかということは、実は明らかではありません。

 

給料が上がらないから消費ができない、といわれますが、人々が消費しないから企業が儲からずに給料が上げられない、ということなのではないでしょうか。

 

おそらく、人々が日本経済の将来や自分の将来に不安を感じるようになり、老後に備えて節約をして貯蓄に励むようになったことが重要なのだと思います。

 

それ以外の面でも、人々の意識が変化したことが影響しているのかもしれません。格好いい車で彼女をドライブに連れていき、高級なレストランで食事をする…というデートが減り、アパートでコンビニ弁当を食べながら2人でゲームをする、というデートをする若者が増えたなら、消費は盛り上がりませんよね。

 

今回は以上です。なお、本稿はわかりやすさを優先していますので、細かい所について厳密にいえば不正確だ、という場合もあり得ます。ご理解いただければ幸いです。

 

 

塚崎 公義
経済評論家

 

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