過去の記憶が曖昧な人ほど、時間を上手く使えないことが判明…未来に対する見積もりの甘さが原因

過去の記憶が曖昧な人ほど、時間を上手く使えないことが判明…未来に対する見積もりの甘さが原因
(※写真はイメージです/PIXTA)

「時間がない」「もっと効率化しなければ」…時間の使い方に満足していないすべての方へ。“時間不足を根本から解消し、あなたの有意義な時間を増やす方法”を、ベストセラー作家の鈴木祐氏が著書『YOUR TIME ユア・タイム 4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術』(河出書房新社)で解説します。

あなたの時間の使い方を左右する想起の4パターン

それでは、あなたの時間感覚を左右する想起のパターンを見てみましょう。私たちの想起は、大きく4つの要素でできています。

 

  1. 想起が正しい:取り出した記憶が実際の出来事を反映している状態
  2. 想起が誤り:取り出した記憶が実際の出来事とは異なる状態
  3. 想起が肯定的:取り出した記憶の解釈がポジティブな状態
  4. 想起が否定的:取り出した記憶の解釈がネガティブな状態

 

はじめの2つは、脳が取り出した記憶の内容が「本当に正しいのか?」を問うポイントです。

 

実際は書類作りに3時間かかったのに「1時間ほどで完成した」と思い込んだり、そもそも作業自体の存在を忘れたりした場合、その想起は誤りと考えられ、あなたの時間の見積もりをゆがませます。

 

逆に想起が正しい場合は、時間の見積もり精度には問題が起きません。

 

続く2つの要素は、特定の想起をどのように解釈したのかを問題にしています。

 

たとえば、書類を3時間で作ったという事実に対して、「私は生産性が低い」と考えれば想起は否定的ですし、逆に「成果は上々だ」と思えば想起は肯定的です。

 

予期と同じように、あなたの想起も遺伝や環境によって異なり、それぞれの組み合わせで想起の“個体差”が生まれます。

 

ここでは四象限のマトリクスを使いましょう。想起は4つのエリアで成り立っています。

 

[図表1]想起の四象限マトリクス

 

  1. 自信家(想起が肯定的で正しい):過去の記憶が正確で、イメージすべきことが明確な状態です。そのため時間の見積もりがうまく、生産性も高い傾向があります。ただし、想起が肯定的すぎる場合は副作用も出やすいので注意が必要です。
  2. 楽天家(想起が肯定的で誤り):過去の時間の使い方を間違って記憶し、さらにそれをポジティブに解釈している状態です。誤った記憶にもとづいて行動を起こすわりには、自分の能力への自信が大きいため、スケジューリングがうまくいかず、重要度が低いタスクに時間を浪費しやすくなります。
  3. 怖がり(想起が否定的で正しい):過去の記憶は正しいものの、その内容をネガティブにとらえている状態です。過去の嫌な体験を行動の基準に使うため、有益なタスクに手をつけられず、無為に過ごす時間が増えやすい傾向があります。
  4. 悲観主義(想起が否定的で誤り):記憶の解釈がネガティブなうえに、さらにその内容にも誤りが多い状態です。そのせいで将来が不安に満ちたものに感じられ、重要なタスクに取りかかるのを避けがちになります。

 

想起は肯否と正誤の組み合わせによって“個体差”が生まれ、この違いに適したテクニックを使わないと、あなたの想起は適切に機能しません。

 

鈴木 祐

科学ジャーナリスト

 

本連載は、鈴木祐氏の著書『YOUR TIME ユア・タイム 4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術』(河出書房新社)から一部を抜粋し、再構成したものです。

YOUR TIME ユア・タイム 4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術

YOUR TIME ユア・タイム 4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術

鈴木 祐

河出書房新社

「時間がない」「もっと効率化しなければ」「本当に大切なことに時間が割けない」「気がつけば1日が終わっている」 ……時間の使い方に満足していないすべての方へ。 「時間感覚」を書き換えて、あなたの時間を取り戻せ!…

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