ToDoリストが効果的な人とそうでない人の違い
とはいえ、いきなり「予期と想起で時間を管理せよ」と言われても、とまどってしまう人が大半でしょう。この考え方が、いったいどのように時間の管理に役立つのかは、まだ見えてこないはずです。
そこでここからは、「予期と想起」のフレームワークを使って、従来の時間術をいくつか再解釈してみます。“カレンダー”や“ToDoリスト”といった定番のテクニックを「予期と想起」の視点からとらえ直し、それぞれの手法が効きやすい人と効きづらい人の違いを考えていくわけです。
これにより「予期と想起」への理解が進み、ひいては時間術の効果に関わる個体差の正体もクリアになるでしょう。
フレームワークを使って時間の既成概念をアップデート
すべての議論をまとめると、時間術の効果に個体差がある理由は、大きく2つに分けられます。
- 予期にずれがある=以降に起きることへの確率の見積りが甘い
- 想起にずれがある=以前に起きたことへの確率の見積りが甘い
話がだいぶシンプルになりました。数百種類を超える“個体差”を考慮するよりも、「予期と想起」のフレームワークを使ったほうが、時間術の要点をつかみやすいことがおわかりいただけると思います。
下記は、フレームワークを利用して要点をまとめたものです。
- 時間の流れとはどのような現象なのか?
→ものごとの変化や連なりを、それぞれの発生確率で解釈したもの
- 人間は時間をどうやって把握しているのか?
→実際には時間の流れなど体感しておらず、出来事が変化する確率に、「時間」という概念をあとから当てはめている
- “時間を効率よく使う”とはいかなる行為なのか?
→あなたが抱く予期と想起を、目的に沿って調整すること
鈴木 祐
科学ジャーナリスト