(※写真はイメージです/PIXTA)

早稲田大学名誉教授・浅川基男氏の著書『日本のものづくりはもう勝てないのか!?』より一部を抜粋・再編集し、日本の「材料とものづくり技術」について見ていきます。

うまい料理は日本の卓越した「食材・料理法」にある

堺の鉄工所職人だった島野庄三郎が26歳で創業。国内外でスポーツ自転車の進化をリードする部品メーカーのシマノの強みは「材料と熱処理」である。その世界シェアは8割に達している。

 

中国の狙うLiイオン完成品電池事業からは早期に撤退した旭化成は、その戦略素材・部品である「隔膜」に特化して、世界での高シェア・高収益を得ている。鉄鋼材料も現在の2倍以上の強度になる可能性を秘めており、楽しみな分野でもある。

 

最後に質的にも量的にも大きい自動車の動向である。中国ではエンジン技術が『弱み』のため、これをリープ・フロッグ(蛙飛び)して一挙に電気自動車に躍り出ようとしている。

 

日本政府も脱炭素につられるように、電気自動車に急速に傾き始めたがトヨタはこれに警鐘を鳴らし、エンジンを含めた自動車産業の裾野である素材・部材・部品の『かなめ』の重要性を訴えている。

 

至極まともな対応である。今後は、材料とその加工法などの洗練されたハードウエアが必須な時代が必ず来る。うまい料理(ソフト)は日本の卓越した食材・料理法(ハード)にあることは論を俟たない。

 

 

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浅川 基男


1943年9月 東京生まれ
1962年3月 都立小石川高校卒業
1968年3月 早稲田大学理工学研究科機械工学専攻修了
1968年4月 住友金属工業株式会社入社
1980年5月 工学博士
1981年5月 大河内記念技術賞
1996年4月 早稲田大学理工学部機械工学科教授
2000年4月 慶應義塾大学機械工学科非常勤講師
2002年4月 米国リーハイ大学・独アーヘン工科大学訪問研究員
2003年5月 日本塑性加工学会 フェロー
2004年5月 日本機械学会 フェロー
2014年3月 早稲田大学退職、名誉教授
著書:基礎機械材料(コロナ社)ほか

※本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『日本のものづくりはもう勝てないのか!?』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。
※「障害」を医学用語としてとらえ、漢字表記としています。

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