(写真はイメージです/PIXTA)

2023年の税制改正はどのようなものになるのか。ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト、矢嶋康次氏の分析です。

3―ガソリン高対策とEV推進減税の矛盾をどうするか?

脱炭素に向かう取組みは、ロシアによるウクライナ侵略で状況が様変わりしたとは言え、政策の中心課題であることに変わりはない。政府のイニシアチブのもと、2050年カーボンニュートラルに向けたロードマップを着実に前進させる必要がある。その具体策を如何に実施していくか。ここに自動車税も絡んでくる。脱炭素における最大の産業テーマが電気自動車(EV)戦略。海外では、EV購入の支援策やガソリン車規制の導入で、着実にEV普及率(新車の販売台数におけるEVの割合)を伸ばす中、日本の出遅れが目立っている[図表4]。世界の潮流への対応を日本も迫られている。

 

【図表4】新車販売台数におけるEV自動車の比率

 

今年は、自動車税、軽自動車税、エコカー減税(自動車重量税)と自動車関連税制の見直しが行われる。自動車税は、大別すると「車体課税」と「燃料課税」の2つがある。財政面を考えると、ガソリン不要のEVが普及すれば、燃料課税からの税収は減少する。道路整備に必要な道路財源の減少は必至だ。また、EVの自動車重量税はエコカー減税で減免されるが、電池を搭載したEVはガソリン車より重く、道路に掛かる負担は大きくなる。このような矛盾をどう整理するのか。財政規模が大きいだけに、そのシフトは方々に影響を及ぼすことになる。また、物価高対策で始まったガソリン補助金は、石油業界への支援策でもある。これをEV支援とどう整合させるかもポイントになりそうだ。

 

国際情勢が緊迫化する中、今年は防衛費増額の財源問題に焦点が当たる。例年のように「法人税減税の効果は限定的」となるなら、最高益を更新する企業の法人税は防衛費にという流れは必至だろう。

 

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2022年10月14日に公開したレポートを転載したものです。

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