1.内容の概要:23年で前年比2.7%に下方修正
10月11日、国際通貨基金(IMF)は世界経済見通し(WEO:World Economic Outlook)を公表し、内容は以下の通りとなった。
・2022年は前年比3.2%となる見通しで、7月時点の見通し(同3.2%)から変更なし
・2023年は前年比2.7%となる見通しで、7月時点の見通し(同2.9%)から下方修正
2.内容の詳細:リスクは引き続き下方に傾く
IMFは、今回の見通しを「生活費危機への対処(Countering the Cost-of-Living Crisis)」と題して作成した(注1)。
世界経済成長率(ベースライン)は、22年は変更されなかったが23年は下方修正(2.9→2.7%)された。
成長率の下方修正の要因としては、これまでの見通しで言及してきた下振れリスクの一部が顕在化したこと、具体的には主要中銀の利上げ積極化期待による金融環境の引き締まり、中国の都市封鎖(ロックダウン)延長による成長減速と不動産危機の深刻化、ウクライナでの戦争の波及効果としてのロシアから欧州へのガス供給削減、が挙げられている。
IMFは、短期的には22年もしくは23年にテクニカルリセッション(2四半期連続のマイナス成長)となる国がおよそ43%あり(注2)、経済規模では3分の1を占める見込みであると指摘している。
さらに、22年の供給ショックと政策の引き締めによる影響は、長期にわたって続くことが想定されており、年初(1月)時点の見通しと比較すると26年までの累積で3%近く生産量が失われると推計している。
一方、インフレ率の見通しは22年および23年ともに上方修正(22年8.3→8.8%、23年5.7→6.5%)され、当初予想よりも高止まりが続くとした。IMFではインフレ率のピークを22年末(四半期ベースでは22年7-9月期の9.5%)と想定している。
なお、IMFはベースライン見通しの前提として、ロシアから欧州への天然ガスの供給が現在の8割減よりも減少しないこと、長期的なインフレ期待が安定的に推移し続けること、インフレ抑制のための金融引き締めによって広範囲な景気後退や金融市場の混乱が引き起こされないこと、を含むものとしている。
(注1)同日に「世界経済の雲行きが悪化し始めた今、政策当局者にはしっかりした舵取りが求められる(Policymakers Need Steady Hand as Storm Clouds Gather Over Global Economy)」との題名のブログも公表している。
(注2)四半期ベースでの見通しを作成している72の国・地域のうち、31の国・地域。
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