(※画像はイメージです/PIXTA)

所得税・住民税をお得に「節税」できるといわれている方法の一つが「ふるさと納税」です。しかし、どうもいま一つわからないのが、「結局いくら節税できるのか」ということです。本記事では、具体例も用いて、その答えを明らかにします。それと同時に、ふるさと納税という制度が抱える問題点についても解説します。

ふるさと納税とは

ふるさと納税とは、全国どこでも任意の地方自治体(都道府県、市区町村)に「寄付」をした場合に、「寄付金額-2,000円」が、税金の額から「税額控除」または「還付」という形で戻ってくるというものです。

 

寄付を行った場合、その地方自治体から「返礼品」をもらえることがあります。

 

寄付金額については上限が設けられており、収入・家族構成等に応じて決まっています。

 

ふるさと納税のしくみは「確定申告」を選んだ場合と「ワンストップ特例」を選んだ場合とで異なりますが、いずれにしても、「寄付金額-2,000円」が返ってくる点では同じです。

 

【「確定申告」を選んだ場合】

・所得税:「寄付額-2,000円」×所得税率の額(A)が返ってくる(還付)

・住民税:住民税の額から「寄付額-2,000円-A」の額が差し引かれる(税額控除)

 

【「ワンストップ特例」を選んだ場合】

・所得税:控除なし

・住民税:住民税の額から「寄付額-2,000円」の額が差し引かれる(税額控除)

 

このように、どちらを選んでも結果的には「寄付額-2,000円」が返ってくることに変わりはありません。

ふるさと納税で節税できる額はいくらか?

では、本記事の本題、「ふるさと納税でいくら節税できるのか」ということについて解説します。

 

「節税」という言葉の定義にもよりますが、ここでは「何もしない場合と比べて収支がプラスになること」と、実質的に定義しておきます。

 

その意味では、結論としては、「ケースバイケースで節税の効果がある」としておきます。

 

どういうことか、「何もしなかった場合」と「ふるさと納税をした場合」のそれぞれについて、事例を用いて説明します。

 

なお、「ふるさと納税をした場合」については、「ワンストップ特例」を選んで「住民税の税額控除」を受けるケースを想定します。

 

◆何もしなかった場合

まず、何もしなかった場合です。

 

この場合、所得金額に応じた住民税が課税され、納税することになります。

 

この状態を「プラスマイナスゼロ」としておきます。

 

◆ふるさと納税をした場合

続いて、ふるさと納税をした場合です。

 

たとえば、九州のとある自治体に「3万円」を寄付し、返礼品として高級魚クエの鍋セット(市場価格1万円相当)を受け取ったとします(【図表】参照)。

 

【図表】「3万円」を寄付し「1万円」相当の「クエ鍋セット」を受け取る(イメージ)

 

こうすると、収支は以下の通りです。

 

-3万円+1万円=-2万円

 

次に、住民税を納税する際に「寄付金額-2,000円」の税額控除を受けます。すると、収支は以下の通りです。

 

-2万円+(3万円-2,000円)=+8,000円

 

したがって、3万円のふるさと納税をして返礼品として1万円のクエ鍋セットを受け取る場合、何もしなかった場合よりも、8,000円、収支がプラスになります。

 

「節税」の定義が先述のように「何もしない場合と比べて収支がプラスになること」だとすれば、このケースに限っては、ふるさと納税を行うことによって収支が8,000円プラスになるので、「節税」にあたるといえます。

 

すなわち、ふるさと納税の「節税」効果の中身は、

 

・2,000円の自己負担でほしいもの(返礼品)が手に入る

・「返礼品の市場価格-2,000円」の額だけ得をする

 

ということであり、その効果の大きさは、純粋に金銭的価値で評価すれば、「返礼品の市場価格」が「自己負担額2,000円」よりどれだけ上回っているかによって決まります。

 

ただし、このような計算ばかりするのは、いかにも「みみっちい」「さもしい」といわざるをえません。

 

「地方自治体を応援したい」「たまには2,000円でちょっと贅沢したい」などの純粋な気持ちで活用するくらいがちょうどいいといえます。

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