開店1年で閉店…「返済期間」は7~10年
特に、飲食店は開業から5年で少なくとも半数以上、10年で9割がつぶれるといわれています。皆さんも、「この間近くにできた店がもう閉店していた」という経験はないでしょうか? 飲食店は参入のハードルが低いため、競争が激しく失敗も多いのです。
代表的な失敗例は、こんなケースです。サラリーマンをやめて、未経験から飲食店を新規開業。外装や内装はフルリフォーム、食器や備品もこだわり、開店資金は1500万円。自己資金は300万円、足りない1200万円は銀行から融資を受ける。思うように集客できず、1年で閉店。
この場合、受けた融資は工事代金などで支払っていますので、手元に残っていません。個人事業主として開店資金の融資を受けると、一般的に返済期間は7~10年ほどになり、分割して少しずつ返していきます。
ところが、短い期間で閉店してしまうと、それ以降に返すはずだった借金のほとんどが残ってしまいます。サラリーマンなどの労働者に戻って返済を続ける方法もありますが、返済額が多くて生活が立ち行かなくなったときは、自己破産など、免責される方法を探すことになります。
思ったよりも「お客さんが来ないだけ」で閉店する
開業からわずかの期間で大変な状況になってしまう人は、そんなに大きな失敗をしたのでしょうか? 実は、そんなことはありません。
計画の甘さはあったのでしょうが、このケースでうまくいかなかったのは、思うようにお客さんが来なかった、というシンプルな事実だけです。
飲食店に限らず、集客はたくさんの要素が絡みます。天気が悪い、暑い、寒い、新型コロナウイルスの感染者が増えた、近くのイベントが急に中止になった――こんな理由で客足は前日からいきなり半分になったりします。ここで挙げた例は、ドラゴンラーメンでも実際にあったものばかりです。
それでも、来客がある場合に備えて準備はしなければなりません。せっかく来たのに品切れになっていると、よっぽどの人気店でなければ、お客さんは失望してもう来てくれないでしょう。
人気のラーメン屋は、行列を作るためにあえてスープ切れを演出することもあると耳にしますが、よっぽど商品力が強い場合でないと、かえって逆効果になります。
経験が浅いと、来客を予想することは難しいです。私も天候や曜日を基準に来客を予想しているものの、なかなか当たりません。理由なく来客が前日から半減したり、逆に増えたりすることに対応する毎日です。
来客が予想より少ないと、業種によっては在庫ロスが発生します。食材が腐った場合は捨てることになり、その分の仕入代金は丸々損になってしまいます。
「会計」を学んで自己破産をケア
このように、商売で儲けを出し続け、長く経営することは簡単ではありません。
ですが、しっかり勉強することで店をつぶしたり、自己破産したりする可能性を大きく減らすことができます。そのためのツールが「会計」です。
「会計」と聞くと、「数字は苦手!」と反射的に感じる人もいるかもしれません。
安心してください。会計は足し算、引き算、かけ算、割り算ができれば、しっかり理解できるようになっています。これからわかりやすく説明していきますので、役に立つ会計について、一緒に勉強していきましょう。
石動 龍
石動総合会計法務事務所 代表
ドラゴンラーメン 店主
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