3.資産防衛
資産防衛は、増やすことよりも守ることに重心を置く投資行為です。
いくら一時的に成功して大きな資産を築くことができたとしても、守る方法を知らないなら、最終的には資産を失ってしまいます。資産防衛で重要なことは、資産はお金だけではないという考え方です。金融資産、不動産、事業などはもちろん資産ですが、特許も商標も、そして健康、才能、人間関係、教育、心と精神も資産です。
お金だけが残っても、他のすべてを失ったならば、資産を防衛できたということにはなりません。私自身、資産防衛コンサルタントと名乗っていますが、クライアント様に対しては、お金のことはほんの一部だとの考え方で向き合っています。資産防衛とは、人生の全領域が豊かになることとイコールだと考えています。また資産防衛には、インフレ対策、通貨安対策、相続対策、税金対策も含まれます。
4.資産形成
資産形成は、資産の構築、運用、防衛を統合した概念です。形成とは、形づくり成していくということ。過去から未来に向けて不可逆的に、資産を生み、育て、成熟させ、他の価値を生み出す貢献をさせるというサイクルを表す言葉です。
資産形成の一環として資産構築し、また資産形成の一環として資産運用します。資産防衛も資産形成の重要な要素です。資産形成は、一生かけて実践していくことです。次の世代に譲り渡すことも考えるなら、一代にとどまらず、二代三代と家を存続していくことも資産形成になります。
家というと古い考え方のように聞こえるかもしれませんが、欧米の個人主義の影響を受けて核家族化が進んだのは、わずか最近数十年のことです。しかも、多くの日本人にとっては個人主義の印象の強い欧米でも、一定以上の富裕層の間では当然のことのように家系や一族を重んじる文化が存在しています。もともと日本でも家を守り、家を継いでいくという考え方がありました。
「相続が三代続くと資産がなくなる」と言われる中でも、家を分裂・分散させず、資産を残していく知恵ある人々はいるのです。多くの人は彼らとの接点がないだけです。間違った個人主義の刷り込みこそが、世代を越えて格差が広がっていく大きな要因の1つとなっています。