本記事は、フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社が10月5日に配信したレポートを転載したものです。

<<元のレポートはコチラ>>

RBAは予想外に小幅な0.25%の利上げを決定

豪州準備銀行(RBA)は10月4日の理事会で、市場の予想外となる0.25%の小幅利上げを決定しました(図表1)。

 

[図表1]豪州の政策金利と市場予想

 

RBAは声明文で、これまでの短期間での大幅利上げを考慮して利上げペースを0.25%に鈍化させたことを明らかにしました(図表2)。RBAは2022年5月から足元までの5か月間で累計2.5%の利上げを実施しており、政策金利の水準は2.60%とRBAが推定する中立金利に達しています。

 

[図表2]豪州準備銀行(RBA)理事会の声明文要旨

 

9月23日時点の市場予想では、RBAの政策金利は2022年12月末に3.10%、2023年3月末には3.35%まで引き上げられるとの見方が大勢となっていますが、今回の小幅利上げを受けて、今後、政策金利見通しが幾分下方修正される可能性もありそうです。

賃金上昇の抑制がRBAのハト派転換の背景か

先行きの金融政策の方針をめぐっては、タカ派的な利上げ姿勢を維持する米連邦準備制度理事会(FRB)とハト派的な姿勢に転じたRBAとの間で温度差が生まれています。RBAのロウ総裁が9月8日の講演で指摘したように、賃金上昇とインフレ加速が過熱しつつある米国とは異なり、豪州では賃金上昇が抑制されていることでRBAがインフレ鎮静化への自信を深めている可能性があります(図表3)。

 

[図表3]豪州と米国の賃金上昇率の推移

 

豪州は景気安定とインフレ抑制の両立が視野に

RBAの利上げが2022年末に向けて一巡に向かう可能性が高まるなか、豪州は景気安定とインフレ抑制の両立が視野に入りつつあります。経済協力開発機構(OECD)が9月26日に公表した経済予測では、米国や欧州諸国の2023年の成長急減速が見込まれるなか、豪州は+2.0%と相対的に底堅い成長予想が示されました(図表4)。

 

[図表4]主要国の実質GDP成長率見通し

 

また、足元では英国政府の減税策公表をきっかけに世界的に財政規律への注目が高まる中、豪州政府(労働党新政権)は10月25日に予算案を公表する予定です。足元の資源価格上昇などから豪州政府の歳入は計画よりも上振れる傾向にあり、改めて財政の健全性の高さが豪州の見直し材料となる可能性がありそうです(図表5)。

 

[図表5]主要国の一般政府の債務残高(2022年予想)

 

 

和泉 祐一

フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社

シニア リサーチアナリスト

 

2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

※いかなる目的であれ、当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。
●当資料は、説明資料としてフランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。
●当資料は、当社が各種データに基づいて作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。
●当資料に記載された過去の成績は、将来の成績を予測あるいは保証するものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予告なく変更されることがあります。
●この書面及びここに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面による同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で配布することはご遠慮ください。
●当資料は情報提供を目的としてのみ作成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。
●フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社(金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第417号、加入協会/ 一般社団法人投資信託協会・一般社団法人日本投資顧問業協会・一般社団法人第二種金融商品取引業協会) はフランクリン・リソーシズ・インク傘下の資産運用会社です。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録