(※写真はイメージです/PIXTA)

「副業収入が300万円以下の場合、原則的に雑所得」とされるようになることに対し、「副業収入に対する増税だ」とデメリットを伝える声が聞かれます。ですが、事業所得が雑所得となることに“デメリット”は本当にあるのでしょうか。

「節税のために無理をして」法人を設立すると…

節税に躍起になっている副業者の中にはこれを機にプライベートカンパニーを設立し、節税を企てる副業者もいるでしょう。しかし、本当にプライベートカンパニーを設立してまで節税する必要があるのでしょうか。

 

プライベートカンパニーを設立することのメリットには、「個人と法人との所得税の税率差」と「個人事業よりも幅広い必要経費の計上」、「繰り延べ損失」が挙げられます。

 

これ以外にも家族へ報酬を分散することのメリットがあり、副業収入に対する節税をするために多くのメリットがあると思われがちですが、そもそもこのプライベートカンパニーを設立するメリットを享受できる副業者というのは、300万以上の副業収入を得るくらいの事業規模でなければ当てはまらないケースがほとんどです。

 

また、そのメリットを享受するために起こる不都合もたくさんあります。節税目的で、安易な考えのもとプライベートカンパニーを設立することはオススメできません。

 

一度プライベートカンパニーを設立してしまったら、簡単には法人の清算はできません。清算するためには多くの時間と労力、費用が必要です。

 

また、毎年の決算も必要となります。会計コストは個人の確定申告よりも法人の決算の方が高額となり、会計コストが増えることを覚えておきましょう。

 

それ以外にも法人にするデメリットはたくさんあります。節税目的で安易な考えでプライベートカンパニーを設立するデメリットも理解した上で、本当にプライベートカンパニーを設立する必要があるのかをいま一度考えてみましょう。

副業をして「正しく所得を得る」ことに何ら問題はない

正しく確定申告をしている副業者にとっては、国税庁が事業所得と雑所得の垣根を明確にすることでのデメリットはあまりありません。日本政府は副業を推進しており、企業に副業を解禁するよう要請しています。

 

一見、副業を取り締まる税務通達と日本政府の副業推進が逆行していると感じるかもしれませんが、あくまで限りなくグレーな節税をしている副業者への取り締まりであるだけで、日本政府として副業を推進していることに変わりはありません。

 

日本は他国に比べ所得が一向に上がらず、加速度的な円安によるインフレーションで生活が危ぶまれています。そんな社会環境の中、副業で少しでも所得を増やすことは大切なことです。

 

今回の国税庁による税務通達をただただ副業者に対する増税だと捉えるのは誤解で、このことにより副業にチャレンジしようという副業者が少なくなることは本末転倒です。

 

副業収入を雑所得として取り扱い、堂々と仕入れ原価や必要経費を計上し、必要があれば雑所得として確定申告する、日本の税金のルールに従って正しく所得を得ることに何ら問題はありません。

 

 

村上 年範

クレディ・テック株式会社 代表取締役

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