2018年1月、タレントの松本明子氏は香川県高松市の実家を約600万円で売却しました。空き家のまま25年も維持してきた家で、その間にかけた費用は実に約1800万円。いったいなぜそんなことになってしまったのでしょうか。松本明子氏の実家が建てられた際のエピソードを紹介します。

芸能界デビュー!実家は「物置き代わり」に…

兄が実家に暮らしたのはわずか3年弱でした。借家から移ったとき高校1年で、卒業と同時に大学進学で上京したからです。私は中学を卒業するまで10年暮らしました。

 

上京して高校に入学、芸能界デビューしたあとは、申し訳ないけれど、実家を物置代わりに利用させてもらいました。

 

6畳1間のアパート暮らしだったので、増え続ける舞台衣裳とか、ものまね王座決定戦でもらった大きいトロフィーとか、とてもじゃないけど狭くて置いておけない。かといって捨てるわけにもいかず。それで荷物が増えると流れ作業のように実家へ送っていました。知っている芸能人の方はみんなそうしていましたね。

 

松本明子氏の著書『実家じまい終わらせました!』(祥伝社)より
松本明子氏の著書『実家じまい終わらせました!』(祥伝社)より

 

ところが、あんまり私が送るものだから、そのうち実家も置き場所がなくなってしまい、とうとう庭の一角にプレハブの2階建ての離れを作ることに(苦笑)。

 

両親は私の出た番組をビデオに録画したり、雑誌を切り抜いてファイルにしたり、番組ポスターなども大事にとっていました。それらも一緒に保管するための離れで、費用は私が出しました。

 

そこそこ広い離れだったので、空いたスペースは父が書斎にしました。作家になると言って小説を書いていました。案外文学少年だったのかもしれません。有名作家の作品が収録された文学全集などを買いあさり、書斎はたちまち本だらけになりました。

 

私の中の父は、陽気に飲み歩くお酒好きのオヤジで、文学の香りはまるでなし。もともと公務員でしたが、1960年代の高度成長期に好景気の建設会社に転職して、私が子どもの頃は給料もそこそこよかったのでしょう。

 

だから夜な夜なバーやスナックに繰り出すわけです。それも1人じゃない。たいてい母と私も連れていくのです。それで親子3人、家族でハシゴです(兄は受験勉強があるので留守番でした)。

 

父は、それがもう大好きで、お店に行くと、「明子、歌え、歌え」と言って私に歌わせる。すると、ママさんやホステスさんが、「すごいね」「うまいね」と言って10円、20円くれる(笑)。それがまた嬉しくて、よく当時のヒット曲などを歌っていました。

 

いまから思えば、あれが芸能界に入る原点みたいなものでしたね。

 

 

松本明子

タレント/女優
 

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※本連載は、松本明子氏の著書『実家じまい終わらせました! 大赤字を出した私が専門家とたどり着いた家とお墓のしまい方』(祥伝社)から一部を抜粋し、再編集したものです。

実家じまい終わらせました! 大赤字を出した私が専門家とたどり着いた家とお墓のしまい方

実家じまい終わらせました! 大赤字を出した私が専門家とたどり着いた家とお墓のしまい方

松本 明子

祥伝社

数十年前に建てたマイホーム。現在は子が独立し、故郷に親御さんだけが住み続けているという方がほとんどなのではないでしょうか。ゆくゆくは実家に住む人が誰もいなくなってしまうのは予想できるけれど、日々の忙しい生活でと…

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