家財の整理は、親子で話し合ったうえでなるべく早く
実家の処分は、売るのも大変ですけれど、家財や遺品の整理も本当に大変です。私の場合は、父の遺言があったので、なかなか処分に踏み切れず、結局25年もかかってしまいました。
空き家は、その期間が長ければ長いほど維持費がかさみます。築年数ばかりが増えて、ますます売りにくくもなります。
でも、親が元気なうちに、「亡くなったあと、実家を処分してもいい?」とはなかなか言えません。親の死が前提の話は、誰だってしたくない。ましてや売却となると、それこそ「お金に換えたいから、そろそろ死んでほしいのか」と思われかねません。
私だって父が亡くなったあとは、「高松の家はもういいよね」と心のどこかで思ってはいましたが、それを母には言えませんでした。父の「頼む」は、私のことも考えてのこと。それはまた母の思いでもあるとわかっていましたから。
ただし、実家の先々のことを親と話せるようでないと、後々、家財や遺品の整理も難しくなります。
実家には子どもたちが想像する以上に物が溢れています。私たちの親の世代は、とにかく物を持ちたがる。捨てようとしない(苦笑)。私の両親もそうでした。使いもしない何十年も前の結婚式の引き出物とか、お葬式の香典返しとか、「それ、残しておいてどうするの?」という物が山ほどありました。
それらが手付かずのまま残っていたら、いざ実家じまいをするとき、冗談ではなく、死ぬほど整理に苦労するはずです。
若いうちはまだいいのです。親の年を心配する頃には子どもだって40~50代です。だんだん体力が落ちてきますから、溢れる物と格闘するのも大変になるのです。とにかくキツイ。実際に経験したので間違いありません。
それを避けるには、親が元気なうちに、少しずつでもいいので、物を整理できるようにすること。ただし、現実には、これが難しい。たいていの親は、物の整理に抵抗するからです。「少しは片づけようよ」などと言おうものなら、すぐにへそを曲げる。
「もう捨てるわよ、いらないでしょ、と片づけを始めたら、何を勝手なことをしてるの!と親の怒りが爆発。大ゲンカになってしまった」
「親が旅行でいないときに、いらなそうなものを処分したら、あれがない、どこ行った?と聞かれたので、捨てたわよ、と言ったら、めちゃくちゃ怒られた」
そんな話を、つい最近も知人から聞きました。
でも、親であれば、誰だって子どもに迷惑はかけたくないと思っているもの。こんなに荷物を残して親が亡くなったら、あとで子どもが大変なんだよね、ということを、上手に話して理解してもらうのが、結局は1番いいのかな、と思います。