(※写真はイメージです/PIXTA)

税金について馴染みのない人が、これから副業を始めるためにどのような税金のルールと節税方法があるかを網羅的に、やさしく紹介していく本連載。俣野成敏氏・横田秀作氏の共著書『知らないと損をする税金の話――副業のプロと税理士がタッグで教えるプロフェッショナルサラリーマンの節税スキル 』(clover出版)から一部抜粋しお届けします。

暗号資産所得の「区分」は?

平成21年にビットコインに代表される暗号資産が登場しました。

 

段階的にマニアから一般、一般から企業というように波紋のような広がりを見せています。とはいえ歴史が浅い資産であり、その本質について理解している人はあまり多くないかもしれません。

 

相場の上下幅が大きく博打ち的とか、デジタル通貨のさきがけとか、これまでの世の中の税解釈には当てはまらない革新的なものなど、さまざまなイメージの中でまだまだ評価が定まりきらないのではないでしょうか。

 

実際、日本では暗号資産をどう扱うのか、国税庁がFAQを公表したのも平成30年のこと。短い歴史の中で、当局が「仮想通貨」という名称を「暗号資産」に変更したことからもわかるように、法律や制度はまだまだ手探りの様相を見せています。

 

それでも、投資手段の一つとして、乱高下を繰り返しながら成長する市場に参入するサラリーマンも少なくありません。では、暗号資産の取引で所得を得た場合に、どうすればいいのでしょうか。

 

暗号資産による所得は、「雑所得」に区分されます。当然ながら、確定申告をしなくてはなりません。しかし、確定申告をしたくないという人たちが存在します。その理由として、次の3つが考えられます。

 

①暗号資産で稼いでいることが、税務署にバレないと思っている

 

②雑所得として総合課税(他の給与所得などと合算した総所得に対する課税)されるので、儲けが大きければ大きいほど税金負担も大きくなる

 

③暗号資産同士の両替も対象になることに加え、複数の取引所で複数回売買をすると、売買のたびに取引所ごとに所得を計算しなくてはならないので煩雑

 

まず、①について。無謀な考え方です。なぜなら、暗号資産への監視が強化されているからです。

 

暗号資産を扱う国内の取引所は金融庁に登録されている

 

国税通則法が改正され、国税当局が取引実態を把握するために「事業者へ情報照会の協力を求めることができる」ことが法的に認められた

 

経済協力開発機構(OECD)が策定した共通報告基準(CRS)により、海外当局と連携して金融口座情報などにアクセスすることが可能なので、海外取引所を利用しても出入金した銀行口座の数字の動きをチェックすることができる

 

次に②について。たとえば、年収600万円のサラリーマンが、いきなり暗号資産で大きな利益を出して所得が1億円を超えたらどうなるか。

 

年収600万円なら、所得税と住民税を合わせて税率30%に満たなかったのに、4000万円の所得を超える部分については、最高税率の55%が課税されます。せっかく儲かったのに半分も税金に持っていかれるなんて……という心理で、確定申告をしない人もいます。

 

その気持ちはわからなくもありませんが、現状は「雑所得」で括られているため、有無を言わせず累進課税方式となります。

 

 

確定申告の義務を果たしていなかったら、次に示すようなペナルティが課せられますから、大きな損失になります。

 

  • 重加算税(30~50%)➡意図的に所得隠しをした場合
  • 無申告加算税(15~20%)➡正当な理由なく申告をしなかった場合
  • 過少申告加算税(5~15%)➡本来申告すべき金額より少なく申告した場合

 

もし今、申告していないという人がいたら、すぐに申告しましょう。税務署からの通知前に申告すれば、無申告が過少申告扱いになるので、少しは加算税を減らすことができます。

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知らないと損をする税金の話――副業のプロと税理士がタッグで教えるプロフェッショナルサラリーマンの節税スキル

知らないと損をする税金の話――副業のプロと税理士がタッグで教えるプロフェッショナルサラリーマンの節税スキル

俣野 成敏 横田 秀作

clover出版

副業解禁時代のサラリーマンへ 納税意識と経費概念を身に付け 最強のプロフェッショナルサラリーマンへと覚醒せよ サラリーマンの最大コストは税金である 残業せずに手取りを増やし、経営感覚をも身につけられる 知ら…

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